月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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(小説)誰よりもきっと、6-9

(小説)誰よりもきっと、6-9

 

誰よりもきっと 目次

 

「大丈夫かね」

アレスは苦しそうにしているアリスとマリアを見ると声をかける。

「ええ、大丈夫ですよ。これでも、何度も聞いてますからね。「氷の旋律」を」

アリスは少し苦しそうな顔をしながら答える。

「でも、メアリーの「氷の旋律」を聞く事になるとわ、思ってもいませんでしたけどね」

「気をしっかり持って、気を緩めると「氷の旋律」に飲み込まれるぞ」

アレスはアリスとマリアに気を引き締めるように言うと、音楽ホールを見渡す。音楽ホールに響き渡る「氷の旋律」確かに、すばらしい演奏技術だ。でも、体によい薬も、飲み過ぎると毒になる。「氷の旋律」も同じだ。研ぎ澄まされた音は、人々の心の奥を引き裂く。引き裂かれた心は元に戻らない。メアリーの演奏は、何処までも冷たく、何処までも暗い響きを持っている。音楽ホールにいる人々は身動きひとつせず、まるで氷の彫刻のようにみえる。

「はい」

「でも、これで、ハッキリしました。この演奏が出来る人物は、一人」

アリスは音楽ホールを見渡すと、悔しそうな顔をする。同じ光景を前にもみた。あの時は、何も出来なかった。でも、今は違う。アリスは舞台の上で演奏をしているメアリーを見る。

「そうじゃな」

「メアリーを巻き込んでしまったのが、残念ですが・・・」

「それは、私が・・・」

それまで、二人の話を聞いていたマリアが、会話に入るが、

「それは、言わないで。元は私たちのせいですから。今は、事態の収束させないと」

「それと、メアリーの事も考えておかないとな」

「それは、大丈夫です。ねぇ、あなた」

「先生、メアリーの事は、お友達に任せてきました。だから、大丈夫ですよ」

「ホントかね」

「はい」

アレスはブレアとアリスを見ると、まだ、心配になる。舞台の上で、演奏を続けているメアリーをみると、どこが、大丈夫なのだろうかと思う。





「はぁ、はぁ、はぁ、もう、今日は走って、暴れて、ばかりだわ」

舞は床に座り込む。大きく息を吸い込みながら、何度か深呼吸をする。そして、少し呼吸を整えると、ビルの姿をみる。ビルは床に倒れ込んでいた。舞は、ビルの姿をみると、ナイフを持った犯人達を相手に、よく生き残ったと思う。

もちろん、ライラの助けがあっての事だ。ライラは、ナイフを持った相手に軽々と身をこなすと、相手を翻弄して気絶させてしまった。コンテスト用のドレスを汚すこともなく、相手を黙らせていた。ライラの実力をみると、あれだけの挑発するのも、よくわかった。

ビルはナイフをかわすので精一杯で、何度危ない場面があった。しかし、ライラが一人目の相手を気絶させたときに出来た隙をビルは見逃さなかった。犯人のナイフをたたき落とし、ビルも相手を気絶させた。

「ビル、大丈夫」

ビルは舞に「まだ、大丈夫」と返事をするが、まだ、起き上がれなかった。ビルの体にはナイフで斬りつけられた後が付いていた。服の間からみえる肌には赤い傷もみえる。血が止まっていないのか、服に赤いシミが広がっている部分もみえる。綺麗だった舞のメイド服も、ビルと同じように数カ所、ナイフで切り刻まれていた。それでも、ビルと比べると、ずいぶんマシにみえた。舞はビルの横に座り込む。

「どう立てる」

「立てますよ。まだ、やることが残ってる」

ビルは、体の痛みをこらえながら立ち上がる。途中、舞が体を支えようとするが、ビルは自力で立ち上がった。

「そうよね。でも、ここから先、チャンスは一回だけよ。あの音楽ホールへのドアを開けて、出来ることはそんなに無いわよ。次に、警備員が集まったら、終わりよ」

「この傷じゃ、次は戦うことも、逃げることも無理ですよ」

「私も、あまり役に立たないと思うしね」

舞は、ビルと自分の身なりをみると、さすがに表の警備員の様にはいかないだろうと思う。こんな傷だらけの身なりでは、怪しまれない方が不思議だ。

「私の助けは必要かしら」

ビルと舞の様子を黙って見ていたライラが、二人に声をかける。

ビルはライラの言葉に、首を振る。自分の問題だからと。

「ありがとう、ライラ。感謝するわ」

舞はライラの好意に胸が熱くなる。

「そう、でも、これは私の義務ですから、あなたもこちら側になったのでしょ」

ライラは舞にそう告げると、音楽ホールの控え室のある通路に向かって歩き出した。「うまくいくといいわね」と最後に小さな声で言う。舞はライラの言葉の意味がわからずに、不思議に思うが、ライラの後ろ姿をみると、納得出来た。

「そうか、そうなんだ・・・」

舞はライラに感謝をすると、コンテスト会場のドアの前に立つ。隣にはビルが、舞を待っていた。スッカリ、ボロボロの身なりになっていたが、その目には、しっかりとした意志を感じられる。

「じゃ、いい開けるわよ」

舞は、ビルの顔を見ると、コンテスト会場のドアをゆっくり開けた。

 


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- 1 Comments

やよい優  

No title

ついに、クライマックス…ですか

舞さんがライラさん側に…って、どういう意味なんでしょう

2010/12/19 (Sun) 22:30 | EDIT | REPLY |   

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