月のかけら

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小説「また、あしたね」 第一部 その3

また、あしたね

また、あしたね 目次



小説「また、あしたね」 第一部 その3

次の日の朝。今日もベットからみる外の景色は快晴だ。気持ちのいい日差しに暖かな空気。
こんな日に足の怪我で、部屋にこもっているのはもったいない。一週間病室に縛り付けられていた事もあり、超がつくインドア派の僕でさえ、外出したい気分になる。
足の怪我さえ無ければ、隣の街まで行きたい気分だ。もともと、姉と喧嘩をして気ままな旅の途中。行く当ても無い旅だから、気分は軽かった。しかし、入院をしているので、手持ちのお金が心配。そろそろ、どこかで路銀を稼ぐことも考えないといけない。貯金を下ろせばいいが、後々の事を考えると、少しは稼ぎたい。
そんな事を考えながら、ペットボトルお茶と、スナック菓子を買い、中庭の噴水前のベンチに座り込む。ペットボトルのお茶の栓を開け、一口飲み。スナック菓子の袋を開ける。
「さて、どうするかなぁ」
お金の問題に、昨日の美咲の事も含めて、早めに解決しておきたいと思っている。思っているだけでは、何も解決しないのもわかっている。
「何を、どうするの」
独り言のつもりで、言った言葉に返事をされ、僕はビックリする。ベンチの後ろに美咲がいる。
「何、そんなに驚いてるのよ。こんな可愛い子に声かけてるんだよ。土下座する程、嬉しいでしょ~」
自分で自分のことを「可愛い」と言うか。それに土座とは何なんだよ。お前はお城のお姫様か? それとも、昨日事を謝れと言っているのか? 叩かれたのは僕の方なのに。僕は不満そうな返事をする。
「ひどぉ~い。昨日、私にあんなに酷いこと言って、傷物にされたのに。私が悪いって言うの。エロお兄さん」
美咲は、僕の隣に座ると右腕にもたれかけ、上目遣いで言ってくる。何で、女の子は男性の壺を押さえた、無邪気で、嬉しそうな表情が出来るのだろうか? 僕は美咲の表情にドキドキする。僕は、年下の美咲にドキドキする気持ちを悟られないように、落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる。
「ちょっと、待てよ。何か、誤解を招く発言だなぁ」
ちょっと、声がうわずったような気がする。
「誤解だなんて、昨日、私の胸を・・・イヤらしい目で・・・」
美咲はさらに、ベンチに倒れ込むと、体を震わせながら嗚咽をもらす。
中庭は暖かい日差しに誘われて、病院の入院患者や看護師達が中庭で散歩に来ている。興味は無いわと、表面上は取り繕っているが、僕と美咲の敏感に反応している。まさに『お耳がダンボ』になっているぞ。
「・・・ちょっと、影山さん。冗談はやめにしない」
美咲は、変わらずに嗚咽をもらす。僕が美咲を泣かしたように見えるのだろう。イヤ、この状況、どう見たって僕が悪者だ。周りにいる看護師と患者は、僕と美咲をチラ見している。よく見ると、病室の窓からも何人かが、僕と美咲を見ている。
どうして、女の子が泣いていると、男は悪者に見えるのだろうか?理不尽だ。『僕は何もしてないのに!』と叫びたい。でも、突き刺さる視線に耐え切れそうにない。
「おぉ~い。影山さん。そろそろ、許してください。僕が悪かった、何でもするから許してよ」
僕が降参すると、美咲は小さな声で僕に「ホントに」と言ってくる。
「出来ることなら」
僕がそう言うと、美咲は飛び起きる。嬉しそうな顔をしながら、僕に詰め寄る。距離が近いぞ、美咲の顔が僕の顔の数センチ手前。間近で見る美咲は瞳は、濁り無く澄んでいる。肌のきめ細やかで綺麗に見える。ホントに病気何だろうか?と思う。
「じゃ、まず、影山さんじゃなくて、美咲って呼んでね。私、名前の方が可愛いから好きなの」
うっ、やられた。やっぱり嘘泣きだった。僕は美咲の術中にはまったことを理解するが、もう遅い。
「それからね。今日はどうしようかな?」
何それは、「今日は」と言うことは、明日もあるのか、明日も?
「もちろんじゃない、今日から私の奴隷よ」
オイオイオイオイオイッ、何で年下にしか見えない女の子に『奴隷』呼ばわりされる訳だろう。
どうして、奴隷なんだ、奴隷なんだ・・・。僕はいつもいつも、なぜ損な役回りなんだろう。この街に来てから、事件に巻き込まれるし、病院には縛り付けられるし、いい事がない。僕がぶつぶつ言っていると、美咲が突然ベンチの裏に回り込む。
「今日もいないって言ってね」
僕が後ろを向こうとすると、「ほら前見て前を」と美咲が小さな声で言ってくる。前を見ると、美咲の母親が、こちらに歩いてくるのが見えた。
「おはようございます」
美咲の母親と挨拶を交わすと、昨日と同じように、美咲の居場所を探しているようだった。僕は見てませんよと言うと、美咲の母親は少し寂しそうな顔を見せる。僕は、少し嘘をついたことを罪悪感を感じる。母親は美咲を見かけたら病室に戻るように伝えてほしいと言うと、病院内に戻っていった。
「いいのか、何かすごい寂しそうな顔していたぞ」
「いいのよ」
「何で、そんなに母親を嫌ってるんだよ」
「しょうがないじゃない。嫌いなんだから」
「どうして」
「わからないわよ。でも、あの人のいいなりになりたくないの」
「そうなんだ」
「望の両親は」
「いないよ。変わりに姉はいるけどね」
「・・・ごめんなさい」
美咲は悪いと思ったのか、優しい言葉をかけてくる。
「いいよ。気にしなくても、物心つく前から、いなかったし。それなりに自由に出来たし」
「いいなぁ~、私なんか、ずっと親が敷いたレールの上を歩いてきたんだよ。厳しい躾けに、お嬢様が通う小学校から中学校、高校生と、ずっといい子で来た。私も疑問に思うことは無かったんだけどね」
「いいじゃない。それはそれでうらやましいよ」
「いいことばかりじゃないわよ。確かに世間で言うお金に困ることは無いわよ。でもね、その変わりに人を信じられなくなるわよ。小さい頃はよくわからなかったけどね。権力と金のあるところに偽善者が集まるのよ。わかる。その人が白と言えば、黒が白になるのよ。自分が正しいと思っても、その人の前では、それが異常になるの。だんだん、頭が可笑しくなるわよ」
美咲は何かを思い出すと、だんだん声のトーンが上がってくる。
「それが、大人の社会なんだと思っていたわよ。それでも、何とか、頑張っていたけど。体が耐えられなかったみたい。病気になって強制退場よ。欠陥品はいらないってところかしら」
「・・・欠陥品?」
「そう、神様にね、お前は欠陥品だぁ~って、言われたの」
欠陥品・・・、美咲の声が急に小さく聞こえる。隣にいるはずの人の声が聞こえなくなると、視界が急速にモノトーンに変わっていく。視界に入る人々の動きがゆっくりに感じる。

・・・参拾八

「ちょっと、望、聞いてるの」
僕は耳に痛みを感じると、美咲の気配を近くに感じた。モノトーンに染まった世界は、自然の色を取り戻し、美咲の声はしっかりと聞こえてきた。今の数字は何だったんだろうか。僕は疑問に感じたが、すぐに意識が違うところにいく。
「ちょっと、聞いてるの」
美咲は僕の前に立つと、両手の拳で頭を挟み込み、グリグリと拳をこねくり回す。グリグリ・・・グリグリ・・・グリグリ・・・と美咲は拳を回す。
「どう、痛いでしょう。ちょっとは反省しなさい」
美咲はベンチに座っている僕の目の前に立つ。ちょうど美咲の胸が顔の前にきていた。美咲が拳を回すたびに、胸が揺れている。
「・・・・・はい、ごめんなさい。でも、もうちょっと・・・あの、その・・・」
「そうか、参ったか。こんな可愛い子が、悩み事を打ち明けてるのよ。ちょっとは真面目に聞きなさいよ・・・、どうしたの望? 顔赤いよ」
美咲は望の顔をのぞき込む。望は頭の天辺から首元まで、真っ赤になっている。
「・・・何でもないよ」
「何でも無いこと無いでしょ」
美咲はそう言うと、自分のおでこに手を当て、反対の手を望のおでこに手を当ててみる。
「大丈夫だよ。少しすれば収まるから」
「そうなの」
美咲は不思議そうな顔をする。
「まぁ、いいじゃない。さっき話の続き。お嬢様学校って、どこの通ってたの」
僕は美咲に話題を変えるように話をする。美咲は、嬉しそうに学校の友達の話、行事の話は始める。美咲の話は、昼過ぎまでたっぷり続き解放された時には、今日はもう話をする気分はにならなかった。


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