月のかけら

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小説「また、あしたね」 第一部 その5

また、あしたね

また、あしたね 目次



小説「また、あしたね」 第一部 その5

病院の表口は目立つので、裏側の駐車場口から僕と美咲は病院を出ることにした。途中、看護師に止められたが、中庭に散歩に行きますと言うと、「まだ寒いから体が冷えないうちに病室に戻るように」と言われただけですんだ。まぁ、頭を打ったとは言え、骨折しているだけの怪我だ。あまり、気にとめられていないのだろう。
美咲と僕は、怪しまれないように堂々とした態度で、尚かつ目立たないようにコッソリと病院を抜け出すことに成功する。病院の影に隠れるまでは、ちょっと緊張した。
「ちょっと、ドキドキしたよ。病院抜け出すのって、ちょっと罪悪感じる」
美咲は胸に手を当てると、深呼吸をしながら嬉しそうに話しかけてくる。
「確かに、警察とか、牢屋から抜け出すのとは、違うけどね。各務先生から退院していいって言われた訳じゃないし。何か、各務先生の怒る顔を目に浮かぶよ」
「そうそう、各務先生なら、頭に角出して怒るよ」
「言えてる。角を出し怒りながら、意味不明の親父ギャグを噛ませてくる」
「どこで笑っていいのか? わからないんだよね。あの先生」
美咲と僕は共通の話題で盛り上がると、すぐにコンビニへたどり着いた。
「あった、あったよ。イチゴ畑」
美咲は嬉しそうに、イチゴ畑の箱とお茶のペットボトルを持ってくる。僕と美咲は病院からパジャマ姿抜け出してきた事もあり、ちょっと目立っていた。美咲は当然と言う態度でいればいいのと気にしていなかった。僕は気になって仕方ない。しかも、病院から出ると、やはり美咲の容姿は飛び抜けていいことに気がつかされる。コンビニに来る途中の道、コンビニの中でも美咲を振り返る男子は両手で足りない。
そんな美咲が僕の腕を組んで歩いているのだから、突き刺さる視線が痛い。美咲は見られることに慣れているのかもしれないが、僕にはパジャマ姿と合わせて恥ずかしいさ倍増だ。
そんなこともあり、美咲を連れて目的のモノを手に入れると、急いで病院に戻ってきた。もちろん、病院に入るときは、目立たないように、堂々とだ。
病院に戻ると、美咲と僕は、中庭に向かった。ここ数日、スッカリ、中庭で美咲と話をするのが日課になってきた。
「うん、やっぱり美味しい。このイチゴに似せたピンク色のパイ生地。中のイチゴ味のクリーム。サクサクのクッキー葉っぱの部分。生きてるって最高だね。こんな美味しモノ食べられるしね」
「そうなの」
僕は、甘いお菓子のありがたみがイマイチわからない。
「何言ってるのよ。こんなに美味しいのに」
美咲はそう言うと、イチゴのお菓子を一つ手に取ると、僕に差し出す。
「はい、あ~んして」
美咲の行動に僕は、顔を真っ赤にする。あたふたと周りをみると、僕たちに注目している人はいない。当たり前だと思うが、僕は慣れないだけに恥ずかしさが、顔に出る。
「何恥ずかしがってるのよ。もう、そんなに私から食べさせてもらうのが嫌なの」
美咲は怒ったように声を出す。
「ほらほら、こんなに可愛い子に食べさせてもらうんだから、地球を一秒で七周半するほど嬉しいでしょ~」
と、嬉しそうに言ってくる。「ほら、観念して口を開ける」と美咲は僕に詰め寄ってくる。僕は観念して口を開ける。美咲の手が、軽く僕の唇に当たる。すると、口の中にイチゴのお菓子を甘い香りが広がってくる。美咲の手が唇から離れたのを感じると、僕は口を閉じる。
「どう、美味しいでしょ」
美咲が顔を少し傾けながら感想を聞いてくる。美咲の長い髪がゆっくりと、肩から胸元に流れ落ちていく。一本、今度は数本まとめて髪が流れる。微かに吹く風が美咲の髪を揺らしている。僕は美咲の顔を見ながら、大事なことを思い出していた。僕の視界からゆっくりと色彩が失われていく。美咲の健康的な肌がモノトーンに染まっていく。肌だけでなく、綺麗に整えられた茶髪も、ピンク色のパジャマも、ゆっくりと色彩を失いモノトーンに染まっていく。そして、美咲の前に二桁の数字が見える。

・・・壱拾四

「もう、こら聞いてるの」
気がつくと美咲の顔が目の前にあった。僕はビックリするとバランスを崩した。そのまま、ベンチに倒れ込んでしまった。
「もう、何してるのよ」
美咲は僕に手を差しだしてくる。僕は美咲の警戒心のなさを、どう受け止めればいいのか、まったくわからずにいた。僕は美咲の手を取ると、ベンチに座り直す。では、改めてイチゴ畑を食べた感想はと美咲は聞き返してくる。僕が答えを言う前に、嬉しそうにしている美咲の顔が暗い表情になる。
僕は美咲の視線の先をみると、そこには昨日から、美咲を探している母親と各務先生が歩いてきていた。
「美咲、どこに行っていたの、今日は精密検査があるって言ったでしょ」
美咲の母親は、美咲を見付けると、少し怒りながら美咲に詰め寄る。
「どこに行っても、私の自由よ」
美咲はベンチから立ち上がると、母親に向かって怒り出す。母親は美咲の両肩を持つと、
「何言ってるの、美咲。今は・・・」
母親の言葉は途中でとぎれる。美咲が母親の手を払いのけると、中庭から逃げる様に走り出す。
「美咲待ちなさい」
母親がそう言うが、美咲は振り返らずに走り続ける。母親が追いかけるが、十代の美咲の走りには追いつけそうにない様に見えた。でも、それは違った形で母親が追いつくことになる。
走り出した美咲は、数秒後には左胸を押さえ始めると、走る速さが歩く速さにかわり、後はゆっくりと数歩歩くと、美咲はその場に崩れるように倒れ込んだ。
「美咲」
母親が美咲の名前を呼ぶと、すぐに駆け寄る。各務先生もすぐに美咲の駆け寄ると、各務先生は僕の名前を呼ぶと、病院の中の看護師を呼んでくるように言ってきた。母親には落ち着くように言うと、美咲に適切な緊急処置を施していく。
僕は各務先生に言われたとおり、病院の中に入ると、すぐに看護師を見付けると、美咲が中庭で倒れたことを伝える。看護師一人では不安に感じると、僕はナースステーションに駆け込み同じ様に、美咲が倒れたことを伝える。看護師の人達は、ストレッチャーを準備すると、すぐに中庭の美咲に駆けつけてくれた。
各務先生を中心に手早く、緊急処置をすると、美咲をストレッチャーに乗せ、緊急処置室に入っていく。緊急処置室のドアが閉まる。僕はどうすることも出来ずに、ただ緊急処置室のドアを見ていた。


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