月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 スポンサー広告

小説「また、あしたね」 第一部 その8

また、あしたね

また、あしたね 目次



小説「また、あしたね」 第一部 その8

美咲は、きっとここにいるだろうと思い病院の中庭を目指していた。
思った通り、そこには思った通りの人物が、思った通りの山葵味のスナック菓子を食べながらベンチに座っていた。美咲はベンチの端に腰をかける。スナック菓子を食べる音が聞こえてくる。
「ねぇ、望・・・、昨日、屋上で会わなかった」
「会ってないよ」
望は特に答えに詰まることなく即答する。
そうよね。そんなことあるわけ無いよね。夢の中の出来事に望が関係していると思ったが、そんなことが出来るわけ無い。
「ねぇ、望、ホントに昨日、屋上で会ってない?」
「会ってないよ。昨日は君とコンビニに「イチゴ畑」を買いに行って、その後、各務先生にコンビニに行ったことがばれて、二時間ほど説教されたけどね」
「ゴメン。でも」
美咲と話をしていると、病院の中庭に通じる扉が開くのが見えた。扉からは美咲の母親が出てくるのが見える。
「さて、今日もいつものように逃げ出すのかい?」
僕は、美咲に母親が来ると伝える。
「逃げないわよ」
「何で、母親の事嫌いなんだろ。あの人のいいなりになりたくないって言っただろ」
「言ったわよ、言ったわよ、でも・・・」
「でも、何。昨日の今日で言うことが変わるわけ。美咲の気持ちって、そんなに軽いの」
「うるさいわね」
「それって、我が儘だろう。今日もお母さんを困らせようよ。協力するよ美咲」
僕はそう言うと美咲に手を差し出す。この手を取れば、美咲と僕の協力関係は成立だ。美咲は僕の手をじっと見る。
「ほら、何してるの。もうすぐ、母親が来る」
僕は美咲を急かす。
「うるさい、うるさい、うるさい」
美咲は、僕の手をはねのけると、何度か僕の頬を叩く。
「ふざけないでよ。母さんを困らせていいのは、私だけなんだ。あんたなんかに私の気持ちがわかるもんか。フラフラと旅をしているあんたなんかに」
美咲はそう言うと、母親と反対側に走り出すと、病院の中に入っていった。僕は美咲に叩かれた頬をさする。美咲に会ってから、何度目だろう、叩かれるのは。
「すいません。美咲が、何度も何度もご無礼なことを」
見ていただろうか、美咲の母親が、深々と頭を下げながら謝罪を繰り返す。僕は、自分が悪いので気にしないでくださいと言う。
「いいえ、病室前のことから、今朝のことも含めて、美咲がご迷惑かけて・・・、でも、もしよかったら、あの子と仲良くしてやってください」
「はい、でも、嫌われたみたいですから」
「そんなことありませんよ。ここ一年程、この病院に入院しているのですけど。久しぶりに、あの子の嬉しそうな顔をみました」
美咲の母親は嬉しそうに美咲の事を話し出す。入院してからの美咲は、かなり荒れていたようで、自分はどう接していいか、わからなくなっていたらしい。でも、僕がきてから少しだけ、美咲が嬉しそうに話をしてくれる様になったらしい。
「私はずっと、あの子のためと思って、いろんな人とお付き合いさせてきたつもりでした。でも、私は間違っていたみたいです」
「どうしてです。美咲さんの事を思ってしていることなら」
美咲の母親は少し寂しそうな顔をする。
「簡単ですよ。私が美咲のためにいい影響を与えると思っていた人は、・・・一人も美咲のお見舞いに来ないのですから」
誰も美咲の事を本当の友達としてみていない。ただの道具としてみていた事に、美咲が入院したことで気がついた。もっと、早くに気がついていれば。美咲の病気の進行にも気がつくのが、早かったかもしれないと思うと、とても悔しい。もしかすると、美咲がこんな病気にならなくてすんだかもしれないと、そう思うと私のしてきた事が間違っていたんだと気がついた。
「私もですが、美咲が病気になるまで、本当の美咲の事をみていなかったのでしょうね」
僕は美咲の母親の言うことに、ただ頷いた。何を言えばいいのか、わからなかったからだ。母親は少し寂しそうな顔をする。中庭の噴水が巻き上げる音が聞こえてくる。
「でも、あなたのおかげで、久しぶりに笑った顔をみることが出来ました。ここのいる間だけでも、あの子と仲良くしてあげてください」
そう言うと、美咲の母親は美咲が入っていた扉から、病院に入っていた。
僕は美咲の母親が病院に入るのをみると、食べかけのスナック菓子を手に取る。ただ何をするわけもなく。ただ、ぼぉーとしていた。

応援よろしく!クリックで投票


ネット小説
異世界恋愛コミカル

にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ
★にほんブログ村投票


FC2ランキング
投票

MEGURI投票
小説一般(恋愛)

 小説 また明日ね・・・

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。