月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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小説「また、あしたね」 第一部 その9

また、あしたね

また、あしたね 目次



小説「また、あしたね」 第一部 その9

「また、変わった趣向の物を食べてるな」
突然、後ろから声をかけられ僕は、ビックリしながら後ろを振り返る。後ろにはいつの間にか、各務先生が立っていた。各務先生は後ろから、手を伸ばすと、「ちょっといただくよ」と、いいながらスナック菓子の袋に手を入れる。
「山葵味ねぇ~、これはお酒のおつまみだろ」
「正解です。入院してからお酒が恋しいですよ」
「だろうな」
各務先生は手に取ったお菓子を口に入れる。
「・・・」
結構、山葵がきいているはずなのに、各務先生は特に何でもないよう顔をしている。性格も変わっていれば、味覚も変わっているのだろうか。
「何か言いたそうだな」
何だろう、僕の思っていることを感じ取ったのだろうか。僕は山葵の味はどうですかと、ごまかしてみる。
「まぁ、これぐらいならお子様レベルだろう」
「お子様ですか?」
「そうだ、お子様」
大人向けのお菓子なんだけどな。
「あっ、そうそう、大事な事を忘れていた。あの子、美咲ちゃんな」
「さっきまで、僕と話をしてましたよ」
「そうそう、君のご主人様だ」
いつからなのでしょうか。美咲がご主人様になったのは。各務先生は美咲から僕のことを「奴隷にした」と聞いたと、サラリと言う。
「その美咲が手術を受けること言ってきたよ」
僕は各務先生が言った言葉に一瞬、時が止まったように感じた。あれだけ、嫌がっていたのに手術を受ける気になったんだ。
「へぇ~、そうなんですか?」
「まぁ、一応報告しておこうと思ってな」
「僕は何もしていませんよ」
「そんな事は無いだろう。少なくとも・・・」
「少なくとも何ですか?」
各務先生は空を見上げると、大きく深呼吸を何度か繰り返す。その姿は、自分を落ち着かせるように見える。
「・・・正直、悩んでいたんだよ、私は」
「悩んでいた」
「知っているだろ、美咲の手術。難しい手術で、成功率は10%もない。でも、何もしないなら、年内はもたない。手術を遅らせれば、どんどん成功率は下がる。時間は待ったなしに進んでいく。これでも、私なりに悩んでいたんだ。どうすれば、美咲が手術を受けてくれるか。正直、どうすればいいかわからなくなっていた」
「・・・珍しいですね。いつもマイペースな各務先生から、そんな言葉を聞くとは思ってもいませんでしたよ」
「それだけ、助かったと言うわけだよ。感謝している」
「何度も言いますけど、僕は何もしていませんよ」
「そう謙遜するなよ。母親が言っていた通りだ」
いつから、僕の後ろにいるんだ。美咲と話をして、その後に母親と話をして、そんなに時間は経っていない。
「後は、私達が頑張る番だ。どんなことをしても美咲の手術は成功させる」
「大丈夫ですよ。今の彼女なら、死神だって避けて通りますよ」
そう言うと、僕は彼女にたたかれた頬を指差す。頬には彼女の手の跡が、まだ、くっきりと残っている。
「確かに」
各務先生は、嬉しそうに笑うと
「あっ、そうそう、もうひとつ忘れていた君もそろそろ、退院出来るぞ」
「そうか、退院出来るか」
「宛のない旅の途中なんだろう。次はどこに行くつもりだ」
「気の向くままですよ。とりあえず行けるところまで行って、寝て、起きてですよ・・・でも、」
「どうした、このまま退院するのは気が引けるか」
「・・・そうですね」
「そうか、それならひとつ提案がある」
「提案」
「そうだ。提案だ」
各務先生は山葵味のスナックの袋に手を入れると、僕の前に手を持ってくる。
「では、まず、望君・・・」
「はい?」
「はい、あ~んして」
各務先生の突然の行動に僕は顔を真っ赤にする。どうしてだろう、この病院に来てから女難が続いている。嬉しいような恥ずかしいような気分になりながら、僕はスナック菓子を各務先生の手から、食べた。

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