月のかけら

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小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その6

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その6


「望先生、おはようございます。香織ちゃん、おはよう。今日もね、体温測りたいんだけどいいかな」
橘は望と母親に挨拶をすると、香織に話しかける。香織は嬉しそうに体温計を受け取ると、パジャマの上着のボタンをひとつ外す。体温計を脇に挟むと、
「これでいい」
「あっ、すごいななぁ~香織ちゃん。もう一人で体温計使えるんだ」
「ウン」
「お母さん、朝ご飯は」
「はい、今日も全部食べました」
橘は母親にいくつか質問をすると、香織の手を握る。香織は何かなと怪訝な顔をするが、すぐに橘の手を握り返す。橘は香織の手を離すと、機器の数値、薬の量を確認しながら、ベットの横の置いている問診票に数値を記入をしていく。
「もう、スッカリ、この病院に慣れた様だね」
僕は、橘の手慣れた機器の扱い、患者さんへの対応をみて感じたままを伝える。
「そんな事、ありませんよ。これでも、いっぱいいっぱいです」
「そうかな」
「看護師の経験が始めって訳じゃないから、そう感じるだけですよ」
「そうなんだ」
僕が感心していると、橘は記入を終えた問診票を僕に手渡してきた。
「どう思います。望先生、経過から言えば、そろそろリハビリ開始ですよね」
僕は橘から問診票を受け取ると、記入された数値の経過をみる。順調に回復している事が、数値に表れている。
「そうだね。このまま安定していれば、来週には大丈夫そうだね」
「じゃ、リハビリ担当者の空きを確認しておきますね」
「動いちゃダメって言っても、点滴を外した途端に飛び出して行きそうだけどね」
僕はそう言いながら、香織ちゃんの顔を見る。
「そうですよね」
香織は大人三人の注目が集まると、怪訝な顔をする。
「どうしたの」
「早く元気になれるといいね」
僕たちは香織ちゃんの微笑ましい姿に笑みを浮かべる。
「じゃ、僕は次の病室にいくから、香織ちゃんいい子にしないとダメだぞ」
「うん、じゃ、また、遊びに来てよ」
僕は、香織ちゃんに手を振ると、次の病室に向かう。
「望先生・・・」
廊下に出ると橘の呼ぶ声が聞こえてきた。僕は足を止め、振り返る。橘が僕の前に立っている。吸い込まれそうな綺麗に黒い瞳、透き通るように白肌。整えられた眉、小さな可愛い鼻、全てが完璧に整っている。完璧すぎて怖いぐらいに感じる。
「望先生・・・聞いてますか?」
「あっ、ゴメンゴメン」
「ホントに大丈夫でしょうか?香織ちゃん」
「どうして、経過から言えば何も問題ないよ」
「でも、」
橘は言葉に詰まる。言うべきか、迷っているようだ。それでも、望の顔を見ると不安そうな顔つきで言葉を絞り出す。
「ちょっと、早すぎると思います。普通なら倍の日数がかかります。それが、ここまで急激に回復するなんて・・・」
「確かに、それは、感じるけど、客観的にみて問題ないと思うよ」
僕は橘の不安を聞き取ると、素直に返事をする。
「先生がそう言われるなら」
橘は、まだ心配そうな顔つきをしている。僕は、橘に、『後で、他の先生と相談してみるよ』と伝える。
「わかりました」
橘は、不安そうな返事をすると、ナースステーションに戻っていった。僕は橘を後ろ姿を少し見ていたが、すぐに患者の事を思い出すと、次の病室に向かった。


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