月のかけら

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小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その7

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その7


「ほら、のぞみ、おきてよぉ~」
病院の中庭に甘い声が響く。白衣を着た男性が気持ちよさそうに昼寝をしていた。そばには、明るめの藍色を基本にしたブレザーに、チェック模様のフレアスカート、リボンをキッチリと胸元まで締めた制服姿の女の子が座っている。
「・・・」
男性は、女の子の呼びかけに少し体を動かした。
「ほぅ~ら、朝だぞぉ~」
女の子は再度、昼寝をしている男性に呼びかける。
「・・・う~ん」
「ほら、起きなさぃ~」
「・・・・・もうちょっとだけ、あと五分でいいから」
男性は寝たりないのか、まだ、我が儘を言う。
「起きないと、お仕置きしちゃうぞ」
女の子は、そう言うと男性の上に四つんばいになると、男性の顔を自分の顔を近づける。ここは病院の中庭だ。当然、女の子の行動は注目を集める。周囲からは、甘い悲鳴が聞こえてくる。中には、『離せ、離してくれ』との我を忘れた声も聞こえてくる。
男性の上に乗った女の子が、顔を近づける。もう少しで、唇と唇が触れあいそうだ。女の子の髪が重みで地面に落ちると、甘い香りが広がる。周囲からは、甘い悲鳴が小さな息づかいに変わる。
「はい、そこまで」
周囲からは、嘆きの声が聞こえてくる。『あと、ちょっと』『そこで止めるなよぉ~』とか、かなり注目を集めている。退屈な入院生活、これが楽しみなんだよと面白がっている声も聞こえてくる。
「望先生の昼寝もだけど、まったく、今の若い子は恥じらいって気持ちはないの」
綺麗なスーツ姿の女性が、残念そうなポーズを体で表現していた。
「何よ、化石時代の気持ちなんて持ち合わせてないわよ。おばさん」
「か、化石時代におばさんですって」
「それに、恥じらいって言える服装なの」
女性の服装は、綺麗なスーツ姿だが、体の線が綺麗に現れていた。服の上からでも、よくわかるバスト、しっかり引き締まったウエスト、大きくも小さくもないヒップ。体の線を綺麗にみせているスーツは、彼女のために作られた様にみえる。
「あら、これは大人の魅力を表現しているのよ。お子様の美咲ちゃんには、まだ、早いわよね」
「なによ、そんな服より、私の制服姿の方が魅力的なのよ、神咲おばさま」
そう言うと、美咲は上品に立ち上がりながら、体を一回転する。長い髪は、ゆっくりと美咲からワンテンポ遅れて広がり、チェック模様のフレアスカートが、少し開く。美咲は神崎の前で立ち止まると、スカートの裾を持ち上げて、笑顔をみせる。二人はお互い笑顔をみせるが、目が笑っていない。二人の一色触発の緊張感をみせるが、『さて、どうするかなぁ~』と争い元の本人には、寝起きらしい姿を見せる。全く緊張感が無い。
「のぞみ先生~ほら、見てみて」
カミソリの上を歩くような緊張感に、可愛いらしい声が聞こえてくる。三人は声のする方角を見る。そこには、今週からリハビリを始めた香織ちゃんがフラフラとしつつも、自分の足で歩いてくる姿がみえた。後ろにはリハビリの看護師と母親の姿も見える。
「おっ、香織ちゃん。もう歩けるようになったの」
香織のけなげな姿をみると、二人は女性はスッカリ毒気を抜かれていた。僕は香織ちゃんに駆け寄ると、数歩手前で立ち止まり、香織ちゃんの視線にあわせて膝を折り、両手を広げる。
「ほら、もうちょっと、頑張れ~」
僕がそう言うと、香織ちゃんは嬉しそうな笑顔をみせると、ふらつきながらも、一歩、二歩と僕に歩み寄る。最後の一歩と言うところで、香織がつまずきそうになると、僕は手を差しのばして香織ちゃんを受け止める。
「よく頑張った、香織ちゃん」
僕は香織ちゃんを受け止めると、両手で抱き上げる。香織も嬉しそうに望に抱きつく。
「こんにちは」
香織を抱きかかえると、美咲が僕の隣に立って、香織に話しかけてきた。
「こんにちは、お姉ちゃんだれ?」
「私ね。影山美咲・・・、後ろのおばさんが、神咲お・ば・さ・ん、お嬢ちゃんは?」
香織は後ろにいる母親をみる。母親は軽く頷くと『お名前は?』と香織に言う。
「わたしはぁ~、かおりだよ」
少し恥ずかしいのか、香織は望の胸に半分顔を隠しながら答える。
「かおりちゃん。いい名前だね」
「うん」
「じゃ、お近づきの挨拶」
美咲はそう言うと、香織に手を差し出す。香織は美咲の手を見ると、恐る恐る美咲の手を握る。美咲は香織手にもう一つの手を重ねる。
「はい、これで私と香織ちゃんは、今日からお友達です。よろしくね」
香織は小さく声で返事をする。
「おともだちぃ?」
「そう、私もね。半年前まで、この病院に入院してたんだよ、でもね、望先生に診てもらって、今はこんなに元気いっぱい。香織ちゃんも早く元気になって、私と望先生を追いかけまわすの」
「ウン、わたしも、のぞみせんせいをおいかける」
「じゃ、今日から私と香織ちゃんは、望先生つながりのお友達です」
「ウン、わたしぁ、みさきちゃんとおともだちです」
「そして、」
美咲は神咲を指さす。
「望先生を怖がらせている、神咲おばさんを二人で退治します」
「こら、何、子供教えてるのよ」
神咲は、美咲に怒り出す。
「望先生の敵を倒します」
美咲はそう言うと、望先生の腕から、香織を抱きかかえる。
「のぞみせんせいのてきをたおすの」
美咲と香織の二人は、怒っている神咲に向かっていく。
「悪い人倒すぞぉ~」
美咲が神咲に向かって、そう言うと、香織は小さな手で、神咲にパンチをする。
「ちょっとぉ~、これはどうしたらいいの」
神咲は、美咲と香織の行動に戸惑うと、さっきまでの怒りは消え、逃げまどう。
「ねぇ、望先生、望先生。こんな時は、どうするんですか?」
追いかけてくる美咲と香織に、神咲は望の周りをグルグルと逃げる。それを追いかける美咲と香織。その姿を見ると、僕たちは笑いだす。
「待ちなさい~」
「まてぇ~」
「ねぇ~、ホントに困るんですよ、先生。望先生、笑ってないで助けてくださいよ」
病院の中庭に、幸せそうな笑い声と、困っている声が、しばらく続いた。


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