月のかけら

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小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その3

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その3


「じゃ、朝の申し送りを始めます。まず、始めに今日から、病棟の看護師に加わっていただく『橘月菜』さんです」
看護師長の横にいる看護師が、頭を下げる。
「はい、今日からお世話になる橘です。色々とご迷惑をお掛けすることもあると思いますが、ご指導の程よろしくお願いいたします」
細身の体だが、看護服の上からでも綺麗な体の線がよくわかる。髪はアップにまとめられているので、長さはわからないが、人形のような綺麗な顔立ちがよく見えた。挨拶の後に、軽く笑みを浮かべると、女性ばかりの看護師から、ため息が聞こえてくる。
「はい、では、今日からの教育係は、諏訪さんにお願いしているから、わからないことは彼女に聞いて頂戴」
看護師長の横にいる女性が、軽く会釈する。
「諏訪です。私もここ病院にお世話になって三年目。頼りないかもしれないけど、何でも聞いてください」
「はい、よろしくお願い・・・」
『ゴン』と言う音がすると、橘は頭を抱えて倒れ込む。橘は机に頭をぶつけたようだ。頭の上でまとめてた髪が少しほどけ、白梅香の香りが広がる。
「大丈夫ですか?橘さん」
看護師長は、すこし苛立ったような声で橘に訪ねる。
「はい、大丈夫です。これぐらいいつもの事です」
「いつもの事なんですか?」
看護師長の頭に黄色いツノが見えたような気がする。
「・・・いいえ、そんなことありません。たまにです・・たまに」
橘は看護師長の怖い視線を感じると、慌てて否定をする。看護師長は、上から目線で橘をみる。何か言いたいそうにみえる。
「看護師長、申し送りをお願いします」
「そうでしたわね・・・。では、各患者さんの引き継ぎを始めます」
看護師長が、申し送りの書類に読み上げると、橘はほっと一息つく。
「危なかったね」
諏訪が小さな声で、橘に一言ささやく。橘は笑みを浮かべながら小さく頷いた。

申し送りが終わると、諏訪は橘を連れて、病院の施設、設備の場所を教えるために、病院内を案内していた。
「いっぺんには覚えられないと思うけど、徐々に覚えるようにお願いね」
「はい」
「で、次は、一般病棟ね」
諏訪と橘が廊下を歩いていると、白衣を着た男性がPHSを使って話しているのが見えた。
「七〇七号室の患者さんの血液検査結果出てる・・・・じゃ、後で検査結果を取りに行くから、用意しておいて」
男性は用件が終わると、PHSを切ると白衣の胸ポケットにしまい込む。
「あっ、ちょうどよかった。望先生」
諏訪は廊下でPHSを使っていた男性を呼び止める。
「はい。何かあったの、諏訪さん」
「本日は新人の御紹介です。今日から新しく看護師仲間になった『橘月菜』さんです」
「よろしくお願いします。橘さん」
「で、こちらが、我が病院の天才医師の望先生です」
「・・・よろしくお願いします・・・・・望先生」
「望先生はね、顔ヨシ、腕ヨシ、性格ヨシで悪いところ無しです。しかも、なんと、女子高生とOLさんから熱烈アタックを受けています」
「えっとね。まず、二つ訂正。僕は天才医師でも、イケメンでもないし、女子高生とOLさんから熱烈アタックは・・・」
僕は最後の言葉はすこしお茶を濁した返事をする。
「え~~、私、イケメンとはいってませんよ、望先生」
諏訪は望に擦り寄る。
「そうだっけ?」
「自意識過剰じゃ~ぁないですか?」
「そんなこと無いよ。僕は普通の健康的な男性です」
「まぁ、否定はしませんけど、美咲ちゃんを悲しませると許しませんよ」
諏訪は少し怒り口調で望に、先ほどよりも詰め寄る。
「そんな事してないよ」
僕は諏訪の意味ありげな言葉を、さらりと受け流す。すると、諏訪は少しため息をつきながら、『なんでこんな優柔不断な・・・』と、小さな声で言う。
「聞こえてるぞ」
「そうですかぁ~」
諏訪は明るく返事をすると、橘をみる。
「・・・」
諏訪は、橘の緊張をほぐすつもりだったが、イマイチだったようだ。橘は興味ないけどと言う感じで、二人を見ていた。
「あの・・・望先生?」
興味がなさそうに見えたが、橘は、望先生の周りをくるくると一周する。
「はい、どうかしましたか」
「望先生、一度、私と、お会いしませんでした?」
そう言われると、望は橘の顔を見る。背丈、髪、面影・・・少し考えてみたが、最近、橘の様な女性にあった記憶がない。思い出そうと思うと、風景がゆっくりとモノトーンに変わっていく。時間がゆっくりと感じられ、小さな文字が橘の前に浮かび上がる。
・・・零
「ゴメン、覚えてないけど」
「・・・そうですよね。私の勘違いかな」
橘は少し残念そうな顔を見せるが、すぐに気を取りなおす。
「じゃ、次に行きますから、望先生。彼女にちょっかい出さないでくださいよ」
「はいはい。じゃ、橘さん、何かわからないことが、あれば、いつでも言ってください」
「はい、ありがとうございます。今後、よろしくお願いします」
諏訪と橘と別れると、望は廊下の窓に手をつく。そして、橘に浮かんだ文字を思い出す。
「零・・・」
望は空を見上げると、心ここにあらずという表情をみせる。しかし、胸ポケットの電子音が望を現実へと呼び戻す。望はPHSを取り出すと、何度か、言葉を交わすとすぐに廊下を走りだした。

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