月のかけら

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小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その8

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第三部 ~秋~ その8


 今日も中庭で白衣を着た男性がベンチの横の芝生で寝ているのが見えた。寝ている隣には、烏龍茶と山葵味のスティック状のお菓子が転がっている。いつもの定番だ。芝生の上で望が寝転がっていた。今日は、神咲は日帰りの出張で夜まで帰って来ないし、美咲も模試試験で夕方まで学校。落ち着いて昼寝が出来ると思い、午後の休憩を堪能していた。看護師には居場所は伝えてあるし、今日の夜の当直までは、僕は非番だ。こんな穏やかな日は、この街に着てから久しぶりの気分だ。
「あっ、のぞみせんせい・・・」
「待って、香織ちゃん、望先生はお疲れみたい」
「お疲れ?」
「ほら、お昼寝してるでしょ~」
僕は香織ちゃんの声に気がついていたが、母親の気配りに甘えることにすると、そのまま寝たふりを続ける。
「起こすと悪いから、あっちに行きましょうか?」
「そうですね。じゃ、香織、噴水まで歩ける?」
看護師と母親の声が聞こえる。香織ちゃんのリハビリを始めて一週間ほど。順調に体の機能は回復をしていた。ここまで順調にいくとは思っていなかったが、香織ちゃんの回復力に驚く日々が続いている。もう、僕の手助けは必要なさそうだ。
 香織ちゃんの元気な声が聞こえる。夏の暑い日差しが終わり、秋の暖かな日差しが心地よかった。このまま、心地よい気分で一日が終わればいい。そう思った途端、一瞬、世界が青白くなると、冷たい空気が辺りを支配する。望は一瞬にして覚醒すると辺りを見渡す。
青白くなったと思った世界は、さっきと変わらない。秋の暖かな日差しと、人々の喧騒、街を行き交う車の音が聞こえてくる。
「何もなかった?」
望は起き上がると、再び、辺りを見渡す。中庭の人々、噴水の水、病院の中を見ても、何も変わっていない。そして、空を見上げると、秋の訪れを示すように空は高く、鰯雲が広がっている。
「勘違い・・・そんな訳」
僕は不思議に思うと、噴水前のベンチに座る。ベンチに座ると、後ろからドッサ・・・と小さな音が聞こえてきた。何の音だろうと思い、音のした方向みる。
「香織ちゃん・・・香織・・・どうしたの、香織」
母親の取り乱す姿がすぐに見えた。隣にいる看護師は、母親に落ち着くように言うと、すぐに、PHSを取り出す。僕はすぐにベンチから立ち上がると、母親の元に駆け寄る。
「何があったんですか?」
僕は香織ちゃんの隣に座ると、すぐに首元に手を当てると脈をとる。香織ちゃんの呼吸を確認するために、香織ちゃんの顔に耳をあてる。
「わからないんです。さっきまで、芝生の上で、香織とお話しをしていただけなんです。そしたら、急に香織が倒れ込んで・・・」
母親は泣きそうになりながら、望の質問に答える。僕は母親を落ち着かせるように、ゆっくりと話しかける。
「僕が助けますから、安心してください」
僕は看護師に、必要な機材の手配を伝えると、すぐに処置室の準備に向かわせる。
「香織ちゃん、香織ちゃん、僕の声が聞こえるかな?」
「・・・」
微かに香織ちゃんの手が動く。香織ちゃんの脈拍、呼吸ともに急激に落ちていくのが、わかった。先ほどのまでの元気はスッカリ消え失せている。そして、香織ちゃんの前にゆっくりと小さな数字が浮かび上がる。
 零
「そんな、はずはない。そんなはずはないんだ」
望は浮かび上がった数字を払いのける。大きな音をたてながら、ストレッチャーを押してくる看護師達の姿がみえた。看護師がストレッチャーを香織ちゃんの隣に置く。
「望先生・・・」
看護師は望の指示を待つ。
「すぐに、処置室に運んで緊急処置をする。必要なものの準備を急いで」
「はい」
僕と、看護師達は、香織ちゃんの体をストレッチャーに移すと、すぐに処置室に向かった。


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