月のかけら

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また、あしたね 4-8

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第四部 その8


 神咲は喫茶店の窓際の席に座っている。夕方、仕事が終わるには、まだ早く、店の中には神咲、カウンターで店員と話をしている叔母さんと、数名の学生だけだった。
神咲は、テーブルに置かれたコーヒーカップを眺めている。カップを手に持つと、コーヒーカップをクルクルと回し、ため息をつく。お店の扉が開き、来店を告げるベルが鳴る。お店に入ってきた客は、黒いスーツに書類ケースとパソコンを抱えている。髪は数日整えていないように、少し乱れているが、綺麗な女性だ。女性は店内を見渡す。窓際に座っている神咲を見付けると、神咲の名前を呼ぶ。
「神咲~」
手を少し上げて名前を呼ぶが、呼ばれた本人は、心ここにあらず。コーヒーカップを前に、ため息をつく。返事がないので、女性は神咲が座っているテーブルに向かう。
「どうしたのよ、あなたらしくない姿ね」
女性は神咲のテーブルの正面に椅子に座ると、持っていたパソコンと書類をテーブルの脇に置く。神咲は、驚いた様子もなく、正面に座った女性をチラッとみると、コーヒーカップの縁を指でなぞる。
「どうしたの?もしかして恋煩い」
女性はそう言うと、『神咲に限ってそれはないわね』と自己完結する。
「悪かったわね、私の中には、恋って文字は無いわよ」
「そう捻くれないでよ」
「・・・」
神咲は返事をせずに、窓の外をみる。窓の外には、いつもの日常が広がっている。女子高生が楽しそうに話をしている姿。サラリーマンらしき男性が携帯電話で話をしながら、頭を下げてる姿。買い物帰りの主婦が歩いている。ありふれた風景が、ガラスの一枚向こうに広がっている。どうして、私は、このありふれた日常から外れてしまったのだろうと思う。
「どうしたの、何か、迷ってるの」
神咲は、迷っていた。これから、自分がすることが正しいのか? 美咲の想いを聞いた今、自分の行動が正しいとも、間違っているとも思えない。どうすればいいのか、考えれば考えるほど、出るのは結論ではなく、ため息ばかりだった。
「・・・迷ってるわよ」
「何を」
「貴崎に相談すべきか、相談しないか?」
神咲は、コーヒーカップを持ち上げると、コーヒーでいいと貴崎に問いかける。貴崎はケーキもつけてと返事をする。
「図々しいわよ」
神咲は、文句を言いながら、手を上げてカウンターに入っている店員に追加注文をつげる。
「忙しいところを、呼びつけたんだから、これぐらいで文句はなしよ」
「太るわよ」
「大丈夫よ、頭使ってるから、で、聞いてほしい話って何よ」
「それは・・・その・・・」
神咲の声は、聞こえないほど小さくなる。
「もう、何を迷ってるのよ、まさか、ホントに恋煩いなの」
神咲は、『違うわよ』と大きな声を返す。数人しかいない、店内だったが、神咲の大きな声は、視線を集めてしまった。神咲は少し恥ずかしそうに小さくなると、貴崎に続きを話す。
「まだ、確信がないからよ」
「確信」
「そう、まだ、ホントの事か、嘘なのかもわかってないのよ。だから、これを話していいのか、迷ってるのよ」
「じゃ、真偽を含めて、調べてあげるわよ」
貴崎は、テーブルの上のノートパソコンを広げる。
「話した方が楽になるわよ。あっ、調査費用はいらないけど、ネタの提供は私だけにしてよ。スクープなら頂きだからね」
「私、話すとは言ってないけど」
神咲がそう言うと、喫茶店の店員が、コーヒーとケーキを二人分持ってきた。神咲は話をやめると、店員が丁寧にコーヒーとケーキをテーブルの上に置く。
「じゃ、ちょっと、話を聞く前に、食べちゃっていい」
貴崎は、テーブルの上に置かれたケーキを見ると、嬉しそうに神咲に言う。
「いいわよ」
神咲はそう言うと、テーブルの窓側に置かれた砂糖に手を伸ばす。すると、窓の外に、白衣を着た男性と女子高生の姿が目に入った。望先生と美咲が、楽しそうに話しながら街中を歩いていた。二人の姿は、ごく普通に見える。仲のいいカップルにしか見えない。二人は、神咲には気がついていないみたいだ。
神咲は、望の顔を見ると、病院の中でみたニュースを思い出す。橋げたで見つかった看護師は望先生が関わっているのではないか、そして、次は美咲が、犠牲になるのでは、と嫌な考えがよぎる。
「ちょっと、神咲どうしたのよ。パソコンじゃないんだから、フリーズしないでよ」
貴崎は神咲の顔の前で手を振ると、心配そうな顔を見せる。神咲は、こわばった表情を浮かべながら貴崎をみる。
「この話は、他言無用で調査できる」
「出来るわよ。でも、報道する必要があれば、独自で動くけど、それでもいい」
神咲は小さく頷くと、貴崎に話をはじめた。


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  • 2012.06.19 (Tue) 13:22 | まとめwoネタ速neo