月のかけら

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また、あしたね 4-11

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第四部 その11


 美咲は学校の授業が終わると、すぐに教室を飛び出し、いつも通り、病院に急いでいた。今日こそは、望先生に好きと言わせるぞと、練りに練った作戦を実行するつもりだった。
「何よ、これ」
美咲は病院前の異様な光景に、唖然とする。いつもは静かなたたずまいを見せる病院の入り口は、大勢の人で埋め尽くされていた。マイクと握りしめたアナウンサー、大きなテレビカメラを構えたカメラマン、それを下支えするスタッフ、そして、機材を満載した中継車が病院の入り口をふさいでいた。
「何があったよの、この病院」
美咲は、大勢の人に圧倒されるが、しばらくすると、どうやって病院に入ればいいのか、迷った。この人混みをかき分けて入るのは、女子高生には荷が重い。しばらく迷っていると、美咲の携帯電話の呼び出し音が鳴る。携帯電話にディスプレイには、『各務先生』と表示がされている。

 望は重苦しい扉を締めると、病院の窓の外をみる。まだ、病院の前に、マスメディアの人達が集まっている。この騒ぎの中心にいるのは、自分だ。先日発売された週刊誌の掲載された記事。『神の手を持つ医師、難易度AAA級の手術を成功させる医師達!!』と、特集が組まれていた。
名前こそ載っていないが、この病院に通っている患者さんなら、容易に想像がつくはずだ。僕は、取材を受けたわけではないが、さすがにこの騒ぎの中心。病院の理事会へ報告を求められ、今、その報告を終えてきたところだ。僕が取材を受けたわけでは無いし、週刊誌へ投稿した訳でもない事から、処分はされないが、今後の行動に、いくつか注意するように言われた。
「やっぱり、ここにはいられないかな?」
望は廊下を歩くと、休憩室前の自販機の前に来る。小銭を自販機に入れると、缶コーヒーのボタンを押す。病院の中には、取材制限をかけているで、マスコミは入ってこない。僕は椅子に座ると、小さなため息をつく。
「あっ、ため息ついたら、ダメなんだよ」
僕の後ろから、よく知った声が聞こえてくると、甘い香りが広がってくる。後ろから、細く白い腕が伸びてくると、ゆっくりと望を抱きしめてくる。
「幸せが逃げていくからぁ~」
望は暖かな体温を背中に感じると、そっと横を見ると、そこには嬉しそうな笑顔を見せる美咲がいる。
「ほらぁ、こんなに可愛い子が隣にいるのよ。ちょっとは嬉しそうな顔しなさいよ」
美咲はそう言うと、僕の顔をつねってくる。僕は、笑いながら返事をする。抱きついてきた美咲を、僕の隣に座らせると、何か飲むと美咲に聞く。
美咲は、大丈夫と答える。でも、『ちょっと、一口頂戴』と言って、僕の飲んでいる缶コーヒーを取ると、一口飲む。
「いいのかぁ、そんな事してると、彼氏出来ないぞ」
僕は美咲の行動を少し、注意をしたつもりだったが、美咲は、僕の腕に抱きつくと、
「大丈夫よ。もう、ここにいるから」
と、嬉しそうに言う。僕は美咲の好意を、嬉しく感じる。僕は、このまま、ここにいて美咲達と一緒に、生きていけるのでは、と思う。しかし、外からの喧騒が僕が、再び、現実を突きつける。どうすればいいのか、どうすればいいのだろうか?
美咲は、僕の表情を見ると、抱きついていた腕を放すと、僕の顔を見ている。僕は、そんな、美咲の行動に気がつかずに、窓の外を見ていた。
「ダメだよ」
いつもの事だ、それが、少し歯車が狂っただけ。いつもの様にしていけば、元の通りになる。いつもの通りだ。狂った歯車は、元に戻せばいい。
「ダメだよ・・・望」
僕は、美咲の問いかけに返事が出来なかった。イヤ、聞こえてなかった。固まりつつ僕の心を、美咲は感じ取ったのか、気がつくと、美咲は、ゆっくりと、僕を抱きしめていた。お互いの頬が触れている。僕の背中に手を回して、少しギュッと美咲は僕を抱きしめている。美咲の体温が心地好かった。美咲の鼓動が聞こえてくる。僕の体温も、鼓動も、美咲に伝わっているのだろうか?美咲の肌から伝わってくる香り、髪から伝わってくる香りが、僕を包んでいる。
「ダメだよ、望、そんな事考えちゃダメ」
僕は、ゆっくりと美咲の顔をみる。美咲の目には、大きな涙が浮かんでいる。
「望はここにいていいんだよ」
僕は何も言っていない。でも、美咲の言葉を聞くと、美咲は僕の思いを感じ取ったように思えた。そして僕は、美咲の言葉を聞き思った。僕の選んできた道は間違っていたのだろうか?
「望は、ここにいていいんだよ。これは、一生のお願いだよ」
美咲はそう言うと、僕のもう一度、ゆっくりと顔を近づける。今度は、頬でなく唇に美咲を感じる。
「もう、絶対に逃がさないからね。こんなに可愛い子のお願い、破ったり許さないからね」
美咲は、涙を流しながら、微笑む。
かなわないなと、僕は思う。スッカリ僕の心は美咲に見透かされていた。
「ここは泣いて喜ぶところだから」
僕は、あまりの出来事に、しばらく唖然としていたのだろうか。美咲は僕の頬を、つねりながら。、再び僕に抱きついてきた。


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