月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 スポンサー広告

また、あしたね 4-12

また、あしたね

また、あしたね 目次


小説「また、あしたね」第四部 その12


神咲と貴崎は、いつもの喫茶店のいつもの席に座っていた。
「スッカリ、負けたわよ」
「そうみたいね」
「強烈な圧力よ。印刷も製本も終わって、後は店頭に並ぶだけだった。一体どういう手段を使えば、こうなるの」
神咲は、鞄から取り出した週刊誌をテーブルに広げる。そこには、望先生が治療した患者、病名、経過などが書かれていた。記事の内容には、望先生を否定するような事は書かれてはいなかった。でも、私が貴崎に相談してから、二週間ほど。ここまで調べ上げる能力に神咲は驚いた。
「ねぇ、神咲? あなた何か知ってないの。望先生は隠れて、大物の政治家の治療とかしてない」
貴崎は神咲に詰め寄ると、新たに情報を引き出そうとしてくる、神咲は、曖昧な返事を繰り返すが、思い当たることは、ひとつだけだ。神咲は昨晩、美咲に呼び出されていた。

「これ、渡しておくわよ」
美咲は、神咲に向かって、週刊誌を押しつける。
「何よ、これ・・・」
神咲は、渡された週刊誌を見ると、見覚えのある週刊誌名だった。
「悪いけど、この週刊誌の出版社は、すべて私が買い取ったわ」
「買い取った」
神咲は渡された週刊誌を開くと、付箋紙の付いた記事をみつける。やはり、貴崎が書いた記事があった。先週に続いて、望先生の病院を記事にしている。神咲は、貴崎の記事をみると、貴崎に相談したことを、少し後悔していた。先週、貴崎の先走りも防げなかった。一度、世に出てしまった記事は、神咲には、どうすることも出来なかった。
「そう、会社ごとね。だから、この記事が世に出ることは、もう無いわよ」
「・・・そんな事出来るの」
「そう、出来るの。たとえ理不尽だと言われようと。汚いと言われようとも、私は、望先生の居場所を必ず守るわ。それに、あなたが何をしようと、私と望との関係は壊せないの」
「私だって・・・」
神咲の声は続かなかった。望先生の事を信じて疑わない美咲。守ろうとする美咲の行動に比べて自分は、なんなんだろうか。信じたい気持ちはあっても、どうしても理性のブレーキがかかる。望先生にある疑問が、どうしても気になり踏み込めない自分がいる。
「私ね。今、すごく嬉しいの」
自問自答を続けている神咲をみると、美咲は話をはじめた。
「私ね。今の家に生まれたことを、ずっと、後悔していた。小さい頃は思ってなかったけどね。小学校、中学校、そして、高校生になる頃には、生まれの不幸を、ずっと感じてた」
神咲は美咲をみる。
「でもね、今は違うの」
「どうして」
「今の家に生まれたから、望に出会えた。今の家に生まれたから、望を守ってあげられる」
「でも、それは」
「わかってるわよ。それが、たとえ理不尽な事でも、世間からずるいと言われても・・・、それが、自分の力じゃないって事も、わかってる。それでも、私は、私の持ってる全てを使って、望を守ってあげられる」
神咲は美咲の言葉に反論できなかった。美咲のやっていることが、どういう事なのかも、わかっている。でも、それでも、美咲の行動を否定できなかった。

 神咲は、昨晩の事を思い出すと、美咲が言ってた通りだろうと思う。貴崎には知らされていないみたいだが、もう、貴崎の立場ではどうにもならないだろう。
「それに、これよ」
貴崎はテーブルに封筒から原稿を取り出す。『画期的 新・治療方法、もう病気は怖くない』と大きな見出しが書かれた原稿が出される。
「そこには、望先生がいる病院が紹介されている。そして、各務先生が新しい治療方法を見付けたと、書いてある」
神咲は原稿を手に取ると、読み始める。そこには、新しい血液のこと、そして、その血液が人と違いがあるが、人の進化した形であることが書いてある。新しい血液は、偶然にも事故にあった患者から採取、研究を続けてきた結果、新しい血液であり、これまで、人類が経験してきた病気に耐え得る構造をしていることが、立証できたと書かれている。さらに、その血液を応用した新しい治療方法が、今まで治療が難しかった病気を対応できることが書かれていた。また、画期的な発見ではあるが、個人のプライバシーと、今後の生活を考え、新しい血液をもつ人は、秘匿とすると書かれている。
神咲は原稿を読み終えると、気が抜ける。そして、ゆっくりと、小さな声で
「各務先生~早く言ってよぉ~」
各務先生は、望先生の事を、よくわかっていた。人と違う事を、どう説明すればいいか、悩んだ末、出した方法が、これなんだろうと、神咲は思う。
まだ、神咲の頭から、『死神』と言う言葉が離れなかったが、昨日までの、深刻に思い詰める気には、ならなかった。自分が、何とかしなければいけないと、思う必要がないと、わかったから。神咲の中で、少し肩の荷が降りた様な気分だった。

応援よろしく!クリックで投票


恋愛コミカル

にほんブログ村 コレクションブログ ドールへ
にほんブログ村


FC2

 小説 また明日ね・・・

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。