月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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See you・・・、その1

また、あしたね

また、あしたね 目次
See you・・・目次

また、あしたね~郷愁編~


 See you・・・その1

ハァ、ハァ、ハァ・・・。 暗闇の中、激しい息づかいが聞こえてくる。男は息をせわしなく、左右、後ろを振り返る。すると、後ろに見える小さな光を見付ける。男の着物は、土に汚れ、所々がひっかいたような後が見て取れる。着物の裾は破れ、帯は申し訳程度に残っているが、あまり、役に立っているようには思えない。
「まだ、追ってくるか」
小さな松明の光は、ひとつ、またひとつと増えてくる。
「どこだ、まだ、近くにいるぞ」
「必ず仕留めるぞ」
松明の光は、せわしなく左右に揺れると、周囲を照らしていく。

・・・鬼だ。

松明と斧を持ち、何かを探している。鬼の面をつけた人々は、何かを探している。なぜ、鬼の面をしているのか、理由はわからない。恐ろしい鬼の表情をみせながら、動き回っているが、その行動は、すごく慎重にみえる。
「一人で行動するなよ。二人で死角を無くして、追い詰めていくぞ」
男は、松明の光を確認すると、木の陰に隠れる。
「必ず首をはねろ、追い詰めろ、追い詰めろ」
赤く燃える松明の光は、暗い山の斜面を照らすには、少々心許ない。
男は松明の光を、木々の影と山の斜面を、使って避ける。二時間程、山を上ると、少し開けた場所に抜け出てきた。後ろを振り返ると、松明の光は見えない。耳を澄ませて見ても、追ってくる男達の声は聞こえなかった。かなりの時間、山を登ってきたはず。そろそろ、諦める頃だろうと思う。男はそう考えると、ちょうどいい、岩を見付けると、岩の影に腰を下ろした。
男は足をみると、山を登る途中で、切り傷や打ち身が、至る所に出来ていた。そして、男は自分の腹を見ると、一本の矢が左の腹を貫通している。男は、矢を掴むと、背中側の矢尻を折る。
「クッ・・・」
男は痛みをこらえると、今度は、腹に刺さった矢に両手を添える。男は傷口を見ると、息を整える。そして、両腕に力を込めると、一気に腹に刺さった矢を引き抜いた。矢は、音をたてると、山の斜面を転がっていく。
男は苦しそうに、腹を押さえる。血が止まらずに男の周辺に、広がっていく。
「僕が、何をしたっていうだ」
僕は、村の外れで、田んぼと畑を耕して生活をしてきた。ずっと、一人だった様な気がする。それでも、村の人達とは、仲良くやってきた。米や、作物を育てて、子供達とも仲良くやってきた。何十年と続けてきた生活が、どうして、こんな事になったんだと思う。
男がつぶやくと、周囲が少し、明るくなっていることに気がつく。空を見上げると、そこには赤くなった月が見える。月明かりは、男の逃走した痕跡を照らし出している。
「月まで、僕を見放すのか」
男は、そうつぶやくと、ゆっくりと立ち上がる。後ろを振り返ると、松明の炎が周囲を取り囲みつつあるのが見えた。ひとつ、また、ひとつと、炎の数が増えていく。そして、ゆっくり、ゆっくりの炎の間隔が小さくなっていく。
「化け物を追い詰めろ」
男は、後ろに下がると、そこには、暗い闇が口を広げて男を飲み込もうとしているに見える。
「化け物を追い詰めろ」
山の麓へ続く道は、松明の炎で覆い尽くされつつある。男の後ろには、暗い闇が広がるのみだ。
「ここで、終わるのも、それも、いいかもしれないな」
暗闇から冷たい風が吹き付けてくる。
「僕は、もう疲れた・・・」
もう、見つかるのは時間の問題だろうと、男は思う。山へ逃げ込んだのが、間違いだった。暗闇にまぎれて、逃げ出すつもりが、逆に追い詰められる結果を招いてしまった。
「そうだな。それもいいかもしれない」
男はそう言うと、暗闇に身をゆだねる。ゆっくりと、ゆっくりと、暗闇に、男の姿が消えていった。


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