月のかけら

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See you・・・、その3

また、あしたね

また、あしたね 目次
See you・・・目次

また、あしたね~郷愁編~


 See you・・・その3


月菜は、いつもの道順で山に入る。山は新緑の季節。緑が美しく、時折差し込んくる日の光と、澄みきった空気と木々の香りが、心と体に心地好かった。月菜が、先ほどまで考えていた悩みを、ひととき忘れさせてくれる。
 スッカリ気分の良くなった月菜は、いつもの場所に来ると山菜を採り始める。この場所は子供の頃から、月菜のお気に入りの場所だ。未だに街に人には、教えていない。月菜が独占している。特に目印もなく、山道からも離れた場所。人がいないという意味では、少し危険な場所だったが、人がいない分、山の植物や小動物達が、月菜に危険を知らせてくれる。
綺麗な鳴き声で歌う小鳥、花や緑の香り、美味しそうな音をたてながら、木の実を食べる小動物達。季節ごとに、山の恵み声が聞こえてくる。こんな時、周りに危険はない。でも、危険が潜んでいるときは、小鳥の鳴き声は聞こえず、花の香りは、血や火薬のニオイに変わる。そんな時は月菜も、この場所には近づかなかった。
 今日は、いつも通りの山の恵みの声が聞こえてくる。月菜はいつも通り、山菜を摘み取ると、腰に吊したかごに入れていく。かごの中の山菜が、一杯になるかけた時、月菜は、山菜を採る手を休め、周囲を見渡す。
「何かな」
月菜は小鳥の声を聞きながら思った。いつもと同じように聞こえる小鳥の声。でも、少しだけ違う鳴き声に聞こえてくる感じがした。月菜は、身をすくめると危険を感じはじめる。異変を感じた月菜は、少し山を下りはじめることにする。微かに血のニオイを感じる。月菜は、血のニオイがする方角を避ける様に山を降りていく。
山を下りはじめると、少し違いを感じた鳥の鳴き声は、聞こえなくなり、いつも通りの鳴き声に戻っている。血のニオイも感じなくなる。
「気のせいかしら」
月菜は、疑問に思いつつも、今日の山菜採りは終わりにすることを決める。危険は無いように感じたが、街に近いとは言え、山の中。用心する方がいい。月菜は、足早に山を下りると、小一時間もかからずに川沿いの道まで戻ってきた。
川辺には、つがいの水鳥はいなくなっていたが、変わりに川辺に黒いボロ布の様なものが浮かんでいるのが見えた。ボロぎれにしては、かなりの大きさに見える。
山への行くときにはなかった。月菜が山菜採りをしている間に流れてきたのだろうか。月菜は、見慣れないものに興味を持つと、川沿い道から、ボロ布に近づいていく。
「誰かが捨てたのかな」
月菜は手頃な枝を見つけると、手に取る。用心しながら、恐る恐る近づいていくと、ボロ布に見えたものは、人の形をしていた。
月菜は、近くで戦でもあったのだろうかと思う。
小さな頃に比べれば、戦の数は減った。それでも、たまに流れてくる仏様もいたし、戦場から、命からがら逃げ延びてくる武士達を見てきた。命のやりとりをして、幸せになれるのか、月菜にはわからなかったが、せめて、亡骸ぐらいは弔ってあげたいと、思っていた。
倒れているのは、男性だった。衣服をみると、動きやすい履き物に、上着を着ており、首には汗をぬぐう手ぬぐいがかけられていた。
「農家の人?」
農民に見えたが、その衣服は、かなり争った跡が残っている。顔をみると街の人ではないように見える。月菜は、倒れている人のそばに、しゃがみ込むと、持っていた枝を隣に置く。
「もし、大丈夫・・・ですか」
月菜は、倒れている人に向かって、声をかける。
「もし?」
月菜は少し、体を揺すりながら声を、何度か、かけてみると少し、反応があった。持っていた手ぬぐいを、川の水で濡らして、しっかりと絞ると、月菜は倒れている人の傷口を綺麗にぬぐっていく。あまり体を動かさないようにしながら、傷口の汚れを綺麗していく。致命傷になりそうなキズが、左に脇腹にあった。他の傷は、問題ないようにみえる。
月菜は手ぬぐいを、もう一度、川の水で綺麗に洗うと、堅く水を絞る。そして、傷口が深い、脇腹に手ぬぐいをあてるようにして、血止めをする。
「一応、手当はしてあげたけど・・・」
月菜は、言葉を止める。助かるか、それとも助からないか。月菜には、出来ることは少ない。傷口の血が止まらなければ、助かることは無いだろうと思う。
月菜は、男を、もう少し安全な河原に移動させると、隣に座り込む。女の力で人一人運ぶには力が足りなかった。座り込むと、今までの疲れと汗がじわりとしみ出てくる。自分の額から流れ落ちてくる汗が口に元に触れる。月菜は汗の中に、血の味を感じる。
月菜は立ち上がると、川の水に自分の顔を映してみる。男の治療をしたときに、ついたのだろうか、頬に血の跡がついている。
月菜は川の水で顔を綺麗にすると、着物を見ると、着物にも血がついていた。脱いで洗うわけにもいかない。月菜は、着物の裾と、手元の汚れを落とす。水をしっかりと絞ると、再び、男の横に座る。
「・・・君が手当を・・・」
突然声をかけられた月菜は、少しびっくりする。意識の無かった男が目を開けていた。男は、まだ、自由に動かない体を、無理矢理起こそうとする。
「まだ、動いちゃだめだです。傷口が開くから」
「でも、ここにいると、奴らが来る」
月菜は、男が起き上がろうとするのを止める。
「何があったか、知らないけど。誰も追ってくる人はいませんから」
男は月菜の言葉を聞くと、周囲を見渡す。月菜の言葉に嘘はない。男は少し安心する。
月菜は男の姿を改めてみる。髪は数日手入れをしていないのか、乱れていたし、無精髭も伸びている。身なりは高価に見えないし、農家の男性が着る着物に、髪を結い上げてもいないから、武家の出身でもないだろう。それに商いをしているように見えなかった。ただ、少し顔つきが、優しい感じがした。
「ここは、街の近くかい」
男性は、辺りをキョロキョロとしながら、自分がどこにいるか、月菜に聞いてきた。
「ここは、京へのつながる街。京へ行く人が、最後に泊まる街の近くです」
「そうか、京に近い場所か」
「近いと言っても、あと、一日はかかるから、それに、ここは街外れで、あまり人も・・・」
「でも、ここにいるわけには、いかない」
「どうして・・・ですか」
「君に迷惑がかかるか」
男はそう言うと、もう一度、立ち上がろうとする。
「ダメですよ」
月菜が止めるのを無視して、男は立ち上がる。何とか立ち上がったが、男は再び意識を失って倒れ込む。月菜は倒れ込む男を、とっさに支える。意識のない男性を支えるには、月菜の力は心許なかった。すぐに、月菜は座り込むと、男を河原に寝かせる。
「助かるかな。この人?」
男性の顔を見ながら、月菜は疑問に思った。


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 小説 また明日ね・・・

1 Comments

みちや  

ここで月菜はが鬼の面を被ったら、きっと私はおしっこちびってしまう。
空気読まないコメントは自分の十八番。

2012/08/25 (Sat) 02:48 | REPLY |   

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