月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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See you・・・、その9

また、あしたね

また、あしたね 目次
See you・・・目次

また、あしたね~郷愁編~


 See you・・・その9


街から悲鳴が消え、木が燃える音聞こえてくる。パチパチと木が弾け、崩れ落ちる。赤い火が、風にあおられて勢いをさらに増していく。重みに耐えられなくなった柱が、音をたてて崩れていく。
一人の男が、燃え上がる街を見つめている。生きているのだろうか、それとも死んでいるのだろうか。地面に倒れ、真っ赤な血が地面に広がっている。血で染まった腕が動き、ゆっくりと、手が地面を掴むように動き出す。男は生きていた。立ち上がろうとするが、体が思うように動かないのか、立ち上がれずに、再び地面に崩れ落ちる。
「まだ、僕は死ねない・・・」
崩れ落ちた男は望だった。体から、再び、真っ赤な血が流れ落ちていく。鬼の面をつけた男に切られた傷だ。致死量と思えるほどの、血が望の周りに広がっている。それでも、望は生きていた。目はうつろに見える。手足は、力が入らないのか、小刻みに震えている。
ゆっくりとした動作で、ゆらりゆらりと望は立ち上がる。
「僕は、まだ死ぬわけにはいかない」
望はうわごとのように、何度も話し始めるが、その言葉は自分に言い聞かせているように思える。
街は壊され、火がつけられている。生きている人はいない。容赦なく女、子供も殺されている。微かに、息がある人もいたが、とても助かるような傷には見えなかった。数日だった。数日だったが、この街で生活をした。河原で、傷の手当てをしてくれた月菜。宿の住み込みで働くことを許してくれた月菜の両親。宿場街だったこともあり、流れ者の自分に、この街の人は優しかった。ほんの数時間前まで、何一つ変わらない日常があった。今見ている光景が望には嘘のように感じられた。しかし、燃え上がる炎が現実を突きつけてくる。
望はゆっくりと、歩き出す。望が歩いた後には、赤い血が引きずられていく。望は歩きながら、街の惨状に涙を流した。どうして、こんな事が出来るのだろうか、どうして人は・・・。望は悔しくてたまらなかった。この状況で月菜の家に戻っても、月菜がいるとは思えない。月菜の両親が生きているとも思えなかった。それでも、望の足は、月菜の家に向かって歩いていく。
街のを燃やす炎は、時折望の肌を焼いた。崩れ落ちてくる家の柱が、望の目の前に倒れてくる。まるで炎は生き物のように広がると、望を飲み込もうとする。それでも、望は足を止めることは無かった。
そして、月菜の家にたどり着く。月菜の家は、なぜか火がつけられていなかった。なぜ、月菜家だけ、火がつけられなかったのか。今の望は思いつかなかった。
裏口から、月菜の家に入ると、月菜の両親が倒れているのが見えた。望は、動かない体に力を入れると、両親の元にたどり着く。
「月菜・・・」
望の母親は、まだ生きていた。望は母親を抱き起こすと、傷口を確かめる。傷口は左は左脇腹から太股にかけて切られていた。血が次々と流れ落ちてくる。
「あんたぁ・・・生きていたのか」
母親は、自分を抱き起こしたのが、月菜で無いことに気がつく。
「はい」
望は、傷口から目をそらす。母親の手を握りしめる。
「すまないねぇ・・・、こんな騒動・・・巻き込んでしまって」
母親は、武家の息子の結婚を断ったことが、この騒動の原因だと思っていた。
「そんな事・・・ありません」
巻き込んでしまったのは、たぶん自分にある。自分が、この街にたどり着いてしまった事が原因だ。僕が巻き込んでしまった。言わなければ、言わなければと望は思い詰める。月菜に助けられたときには、思い出せなかった。なぜ、忘れていたのか、自分にもわからなかったが、今は、理解できていた。すべて、思い出した。
「たぶん、私は助からない・・・だから、最後に私の変わりに、・・・頼まれくれ・・・ないかい」
望は返事が出来なかった。ただ、嗚咽がこぼれてくるだけだった。母親は、話を続ける。
「あの子、月菜を助けてあげてくれ・・・・あんな武家の息子に取られるぐらいなら・・・」
月菜の母親は、手を上げる。フラフラとする手は何を掴みたいのか、わからなかった。望は母親の手を取る。
「月菜は、あんたの・・・事を好いて・・・いる。だから、あの子と・・・一緒に」
母親の手は、望の手をすり抜けると、床にゆっくりと落ちていく。力を失った手は、床に落ち、再び、跳ね上がり、そして、床に落ちていく。
望はただ涙を流している。望は、動くことが無くなった月菜の両親を見つめている。そして、数分が経っただろうか、望の涙は止まっていた。
望は母親の目を閉じさせると、母親と父親の二人をそばに寝かすと、着物の乱れを直し、顔の汚れを拭き取る。望は二人にゆっくりと頭を下げる。そして、頭を上げる。
望に顔には、迷いは感じられなかった。自分のなすべき事、やり遂げなければい事が、望にはわかっていた。この状況を作り出したこと。失われた物を取り返すことも、償う事もできないとわかっている。でも、それでも、やらなければいけないと望は感じている。
望は月菜の家を出ると、振り返らずに歩き始める。どこに行くべきなのか、望には、それが理解できていた。


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 小説 また明日ね・・・

- 1 Comments

リリアスキー  

望、月菜を取り戻すのなら俺もつきあうぜ!! 一人よりもマシだろ?

リリアスキーは、シリアスな恋愛小説は苦手な筈ですが、てぃかさんの世界に引き込まれております。

シリアスが苦手ゆえ、つい茶化したくなる悪い奴です。ごめんなさい。

ただ、現実はあまりにも報われない事が多すぎる(特に恋愛に関しては)ので、望と月菜には少しでも 「幸せ」 がありますように。

続きを楽しみにしてます。

2012/10/13 (Sat) 00:31 | REPLY |   

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