月のかけら

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See you・・・、その10

また、あしたね

また、あしたね 目次
See you・・・目次

また、あしたね~郷愁編~


 See you・・・その10


「なぜだ、約束が違う、約束が!!」
武家の息子は、燃え上がる街を見ながら叫んでいる。流れ者に一族に、結婚の申し込みを断った月菜の一家の殺害を依頼した。だが、この街を襲えとは言っていない。私が疑われないように、夜盗の仕業にみえるように依頼したはずだ。
「なぜだ、なぜ、街が燃えている」
息子は苛立ちながら、屋敷を走り回る。
「誰か、誰かいないのか」
屋敷の扉を開け、部屋の襖をあけるが、そこには誰もいない。
「何が起きてる。何が起きているだ」
武家の息子は、屋敷の中庭まで来る。中庭から街に繋がる門が開かれ、外には火の手がみえる。幸い、屋敷の周りには小さいながらも、水堀がある。屋敷には火は入ってこないだろう。中庭の中央に池があり、その周りを松の木と白い石を敷き詰めた落ち着いた色彩が広がっている。その中庭に異質な赤い面をした鬼が立っている。
「人とは醜いものだ。そう、思わないか」
鬼の面は赤く、そして大きな前につきだした鼻。表情は怒りに満ちている。黒い衣装に赤いさやの刀を左手に、右手に気絶している月菜を抱えている。
「お前か、お前の仕業なのか」
「・・・」
鬼は答えない。答えをださない鬼に向かって苛立ちを隠さない武家の息子。
「私は、この街を襲えとは言っていないぞ」
武家の息子は赤い鬼の前まで来る。
「なぜ、答えない」
赤い鬼は、言葉の変わりに、持っている刀を地面に突きつける。刀を中心に空間がゆがんだようにみえると、武家の息子が飛ばされる。そして次の瞬間、『ドン』と言う爆音が響き渡り中庭の松の木々が大きく傾き倒れていく。屋敷の壁が崩れ、池の水は吹き飛んでいる。
武家の息子には、体中に痛みを感じながらも、起き上がると周りの光景に愕然とする。たった一回、地面に刀を叩きつけただけで、屋敷の景観が一変していた。木々は倒れ、壁は崩れ落ち、屋敷の柱は傾いていた。その光景に武家の息子は、目の前にいる赤い鬼に、恐怖を抱きはじめる。そして、自分は間違った選択をしたことを実感し、言葉を失う。
「・・・」
赤い鬼は何も語らずに武家の息子をみる。小さいはずの赤い鬼の面が、大きくみえてくる。武家の息子は、恐怖心が膨らみ言葉にならない悲鳴を上げると、腰を抜かす。それでも、なんとか、腕と足を使いながら這うように鬼から逃げだそうとする。
助かりたい一心で、武家の息子は屋敷の門の前にくると、何かにぶつかった。そこには人の足がみえた。誰もいないと思った屋敷に人がいた。武家の息子は、少し安堵する。
「なな、な、なに、何をしている。あ、あ、あの鬼を・・・」
武家の息子の後ろには、望が立っていた。
「ヒッ」
武家の息子は、望の姿に驚きの声を上げる。赤い鬼から、氷のように冷たい恐怖を覚えた。そして、今、目の前にいる望から、熱い怒りの恐怖を感じる。武家の息子は、何度も転がりながら立ち上がると、望の前から逃げ出す。
「私は悪くないぞ、私は悪くないぞ、悪くないぞ、お前が悪いのだ!!お前が、この街に来るから悪いのだ。私は、私は、神罰を下したのだ」
武家の息子は逃げながらも、望に向かって言い訳をする。その顔には、もう自分の保身しか浮かんでいない。自分の思い通りにならなければ、金と力を使ってでも、従わせようとする。
「人とは醜い物だ」
黙っていた赤い鬼が、再び声を発する。
「・・・」
望は答えなかったが、視線を赤い鬼に向ける。
望は思う。ここも自分の居場所ではなかった。思い出した、思い出した・・・。自分は、この鬼に、街ごと襲われて逃げてきた。両親も姉も、自分を逃がすために、鬼に向かっていった。まだ、幼かった自分を逃がすために死んでしまった。それから、逃げ延びた先にも、鬼は現れた。同じような事が繰り返され、一度、諦めた命。でも、なぜか、自分は助かり、この街でも同じことが繰り返されている。
望は赤い鬼に向かって歩き出す。再び赤い鬼が、持っている刀を地面に突き刺すと、今度は、望に左右に青い面をかぶった鬼が、二人現れる。
「先ほどは失礼した。我々の獲物だとは気がつかなかった」
「気がついていれば、あの場で終わりにしていた」
橋で月菜を連れ去った青い鬼が、冷たい感情を押し殺した声で言う。
「今度は、痛みが長引かぬように配慮してやろう。さきは、少し手元が狂ったようだ」
「次はお前の首を狙って、一撃で終わりにしてやろう」
一人の青い鬼が、望の傷口が見ながら言うと、残りの鬼は笑いながら同調する。
赤い鬼が、月菜を片手で抱えながら、望の前に歩いてくると、青い鬼は道をあける。
「これで、役者は揃った」
役者は揃った・・・。何を言ってるか、望には理解できなかった。
「お嬢さんを離せ、その子は関係ない」
僕を追いかけてきたのなら、月菜は関係ない。イヤ、この街の人も、関係ないはずだ。望は鬼が行動が理解できなかった。自分の命を狙うために、なぜ、月菜を、月菜の両親を、この街に人々を、巻き込んだ。
「なぜ、巻き込んだ・・・」
望の目は血走り、その怒りは赤い鬼に注がれる。


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 小説 また明日ね・・・

- 1 Comments

リリアスキー  

こんばんわ。武家の息子、土佐衛門 (いたっけ?)並みに空気の読めない私です。

 なんか武家の息子、名前でてこなさそうなので私の妄想です。第一、ドザエモン(おい!)は拝見してもろ死亡フラグが立ってたのでつい・・・

ま、期待を裏切らない小物っプリは安心ですね。こういう小物なら、望も安心してフルボッコできるでしょう。(って、相手が違うか。)

 武家の息子が存外いい人のオチも妄想してましたが、それだと望が引き立ちませんもんね。(苦笑) ドザエモンよ、最後まで小物でいて下さい。

 ただ、次の決戦。 望に勝つアテがなさそうなんですけど(汗)

 鬼双子ズにバッサリやられてんのに、ボスまでいる。普通なら“詰み”

 しかし、こうまで鬼が大事にするには理由があるはず。

 望に隠されているであろう“何か”に、こちらはおのずと期待してしまいます。

 ま、てぃかさんの世界に干渉するなんておこがましいので、上記のコメは一読者の妄想と受け流していただければ幸いです。

 それでは、月菜と望の幸せと、ドザエモンの不幸(おい!)を祈りつつ失礼いたします。

2012/10/20 (Sat) 00:03 | REPLY |   

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