月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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月のかけら ~第一章その1~

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月のかけら~第一章
~目次~


第一章 その1

 僕は、朦朧としながら、炎と煙をあげる街を歩いていた。真っ赤に燃える炎は、うなり声を上げながらすべてを飲み込もうとしている。不思議なことに服を通して、炎の熱さを感じる事は無かった。しかし、体は無意識に、迫り来る炎を避けようとする。煙は、僕の体から酸素を奪い、息苦しさを感じさせる。炎に熱せられたアスファルトとコンクリートが、靴のゴムを焦がしていく。いくつもの苦痛を感じるはずだが、僕の体は、感覚が麻痺している。体の限界が迫っている事を、僕は頭の片隅で認識をしている。早く逃げなければいけない。僕の知性が告げている。でも、僕は、この街を歩いていた。歩きをやめることが出来なかった。この街で何が起きたのか、知るために・・・。

 僕の後ろから、ガタガタと音が聞こえてくる。その音はドンドン大きくなる。僕は、その音にひかれて後ろを振り返る。そこには、炎に炙られた金属タンクが音を発していた。タンクを構成している本体、液体を注ぐ注入口、タンクを固定するネジ、それぞれが限界を訴えるように音を出していた。そして、限界を超えたタンクが大きな音と熱風を弾けさせると、辺りに大きな突風を巻き起こした。
僕には、その光景がゆっくりと見えた。タンクを構成しているネジがはじけ飛び、続けてタンクの注入口が、ドンと重低音を響かせながら地面に叩きつけられる。押しとどめる枷が無くなった液体が、タンクから一気に飛び出てくる。タンクの中で熱せられた液体は、一瞬のうちに液体から気体へと気化し、数千万倍にふくれあがる。タンクの周りの炎は、待ってましたと言わんばかりに、気体を飲み込む。そして、真っ赤な炎は、青い炎へと変化する。炎は小さくなると、周囲の空気を巻き込み、真っ白な閃光を放つと、辺りに静寂が訪れる。一瞬の出来事だった。静寂は瞬く間に、爆音が打ち消していく。青い炎は、地上に大きな火柱を上げ、炎を従え円状に広がっていく。すべての物を巻き込みながら、すべての物を無に返す勢いで突き進んでくる。
僕は、突き進んでくる炎をみながら、どうしてこんな事になったのだろうと、僕は思い出そうとする。

「だめだよ・・・それは・・・」

微かに女の子の声が聞こえてくる。白く長い髪が大きく揺れている。何度も何度も、繰り返される声。
「それは、外に出してはいけないもの」
それは僕にも、わかっている。けど、こうしないと、僕たちは生きていけない。僕達には選択の余地はない。僕達が生きていくのを諦めれば・・・。

「諦めちゃダメ!!」

差しのばされた手が見える。そして、再び、女性の叫び声が聞こえてくる。何度も何度も、呼びかけられているようだった。真っ赤な炎は、すぐ目の前まで迫ってきている。もう、少しだ。もう少しで終わりに出来る。何もかも、この炎が焼き尽くしてくれる。女性の叫び声が遠ざかっていく。そう、僕のことは諦めてくれればいい。空の上から数人の声が、微かに聞こえてくる。何かもめているように聞こえてくる。

でも、僕は、この炎の中で、すべて終わりに出来ると思うと、生きのびたいたいとは思えなかった。楽になりたい、そう思うと、体の力が抜けた。これで終わりに出来ると、思うと同時に、体に大きな衝撃を感じる。そして、痛みを感じるより早く、暖かく柔らかい感覚に包まれた。煙と薬品の臭いが消え、懐かしい香りがした。何の香りか、名前を思い出すより前に、僕の意識は、そこでとぎれた。


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 (新)小説 月のかけら

- 1 Comments

リリアスキー  

 こんばんわ。 重厚な小説に軽薄なコメが必要か大いに迷いますね(汗汗)

 主人公(?)既に死亡フラグで御座います。戦争なのか災害なのかどんな厄災かは解りませんが、諦められては大いに困る。話は始まったばかりですから。

 彼(?)が感じた感覚。それはいまわの際の最後の感覚か、新たな目覚めの下準備なのか・・・・来週まで大いに気になりますね。

2013/04/12 (Fri) 21:55 | REPLY |   

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