月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

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月のかけら ~第一章その3~

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月のかけら~第一章
~目次~



第一章 その3

「わかったよ。サポートするけど・・・」
「ありがとう、龍也」
美喜は、そう言うと僕に抱きついてくる。Tシャツの上からでもわかる美喜の柔らかい体の感覚に僕は、心臓がドキドキするのを自覚する。何かと感情をスキンシップで表してくる美喜に、始めは慌てたが、最近では、少し落ち着いて対処が出来るようになってきた。
「はい、はい、わかったから、ちょっと離れて、離れて」
僕は美喜にそう言うと、ホログラムディスプレイを見る。
「あっ、ゴメンゴメン、ついつい嬉しくって、抱きつく癖が出ちゃった」
僕は美喜の言葉を聞くと、『言い訳だよね』と言う言葉を飲み込んだ。理由は単純。美喜が誰にでも、抱きついてくる訳では無い事を知っているからだ。美喜が抱きついているのは、子供だけで、大人の男性、おじさんに抱きついて喜ぶことは無かった。僕は、まだ、美喜には子供と認識されているだけみたいだと、気がついたのは、つい最近の事だ。それでも、周りの男性からは、『変わってくれ』とか、『気持ちよかったか?』とか、妬まれることことばかりだ。美喜とは年齢はそう変わらないはず。そう思うと、子供扱いを受けていることに、少し気分が悪かった。
「とりあえず、残りの装備と状況を確認するよ」
僕は近くに止めていたマウンテンバイクに駆け寄る。マウンテンバイクは小型で、整備された市街より、荒れ地を走るのに適しているタイヤを履いている。エンジンは小型のバイクにあわせたのか、さらに小さく、特殊な形をしている。ガソリンタンクも通常の形の半分にみえる。バイクの後には、リュックが左右に取り付けられてる。
僕は、マウンテンバイクのリュックの中から、野球ボールサイズの黒い球体を二つ取り出す。ひとつを胸ポケットしまい込み、もう一つの黒い球体を手に取る。僕は周囲を見渡すと、少し見晴らしがいい場所に黒い球体を置く。球体のボタンをいくつか押してから、僕は、再び、美喜がいる場所に戻ってくると、ホログラムキーボードを操作する。ホログラムディスプレイに、僕を中心にした立体地図を投影させる。立体地図には、立派なショッピングセンターの建物と、綺麗な住宅街が表示されている。でも、目の前の光景は、半壊し建物と、瓦礫の山だ。
「そろそろ、いいかな」
龍也は、そう言うとホログラムキーボードに必要なコマンドを打ち込んでいくと、ホログラムディスプレイの立体地図表示が、暗い表示に切り替わり、その上に上書きされるように、明るい表示で立体図形が重なっていく。ホログラムディスプレイの図形と、後ろの風景を見比べると、後ろの風景が細かいところまでホログラムディスプレイに再現されていた。崩れた建物の形、周辺の瓦礫が、元の地図の上に詳細に上書きされていた。
上書きされた詳細地形は、龍也が設置した黒い球体を中心にしている。有効範囲に限界がある様で、黒い球体の周辺以外は、元の立体地図のままだった。
「一応、スキャンはしてみたけど、生体反応は、先ほどの小さな反応が二つと・・・小さな反応が、いくつかあるみたい。後は、半径100mm以内に生きている物は無し」
龍也は、スキャン結果をみながら、センサーの入力が安定しないことに、少し疑問を感じる。
目の前のショッピングセンターのスキャン結果が安定しない理由がわかない。数キロ離れた場所をスキャンする広域スキャンなら、センサー情報が安定しないことがある。でも、今回のスキャンは、距離を限定した半径100mm詳細スキャン。人と小動物を見分けられない訳がなかったが、スキャン結果は、生体反応あり、識別不可と表示されている。その結果に龍也は、納得がいかなかった。
「人の識別は出来ないの?」
僕は美喜の質問に首を振る。ホログラムディスプレイの立体地図に手をかけて右側に回すと、立体地図が手の動きにあわせて右側に回る。
「生体反応は、さっきと同じ場所」
僕は立体地図の場所を指し示すと、指を左右に揺り、地図に赤い印をつける。ここの一番奥に生体反応がある。
「何か、おかしな事はないの」
「詳細スキャンでも、人の識別出来ない事・・・やっぱり、不自然な気がする」
あまり、考えたくないが、秩序が壊れた社会。誰もがルールを守る訳ではなく、力に訴える集団もいる。警察署から持ち出した銃、自衛隊の装備を持ち出している集団もいた。力で人を従わせて、食料を強奪していく。治安がよかった日本ですら、治安の維持は出来ていない。
「龍也、ご自慢のセンサーの結果に納得がいかないわけだ」
僕は、美喜の言葉に少不機嫌な返事をする。美喜は、ゴメンゴメンと言いながら、僕の頭の髪を撫でてくる。
「でも、わからないなら目で確かめるしかないよね」
確かに美喜の言うとおりだと、思う。わからないなら目で確かめる。でも、今の世界は一年前と違って、平和ではない。自分の目で、確かめると言っても、それは安全を保証されているわけではない。
一年前起きた事件、『月のかけら』から、世界は混乱に陥っている。テレビのニュースで流星群が地球と火星の間を通過すると、発表された日。僕は少し混乱に陥った。僕だけではなく、多く人達が同じような状況だったと思う。聞かされたときは、混乱したが、実は地球には接触しないとわかると、安堵した。脅かすなよと、テレビに噛みついたが、まさか、それが嘘だったとは、思いもしなかった。そして、その発表が嘘だと気がついた時には、もう、それは遅かった。
すでに主要な人々は、避難を終えていた。流星群は地球に衝突することは無かったが、数個の隕石が月に衝突した。隕石が衝突した月は破壊され、地球へ、そのかけらを落としていった。たった数個の月の隕石。それだけで、地球環境を変えるには充分だった。
あの事件から、もう一年経ている。そして、その中でも生き残った人達がいる。何が起きたか全容は掴めている人は少ない。しかし、世界の状況が一変したことは理解できているだろう。お金でほしい物や、食料が買える時代は終わっている。警察や、軍隊が国や人を守ってもくれない。自分の身は自分で守る必要があって、明日の食べ物は自分で確保していかなければいけない。
「わからないから、二人で乗り込むのは危険だと思うけど・・・」
僕は、美喜の機嫌を損ねないように、言葉を飲み込む。変わりに小さくうなずき返すと、立体地図を使って、生体反応までの行くためのルートを説明する。用心する事に越したことはないと美喜を説得して、何かあったときの脱出ルートと落ち合う場所を説明した。あと、気になることで、一部の電力が回復していることを伝える。
「たぶん、太陽光発電か、風力発電が生き残ってると思うんだけど・・・」
僕は、歯切れの悪い説明をする。電力があることは、わかったが、その電力を使って何が動いているかは、わからなかったからだ。


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 (新)小説 月のかけら

- 1 Comments

リリアスキー  

 こんばんわ。 いろいろ邪推しながら小説拝読中の私です。
 近未来系ですな。
 地球の環境激変ってことは・・・・地球は、放射能に汚染されまくってるのだろうか?
 秩序崩壊ってことは・・・・『北斗の拳』みたく、『ヒデブ!!』みたいな凄い連中が彷徨っているのかな? それとも、ゴジラみたく、放射能の影響による突然変異で、モンスターが跳梁跋扈しているデストピアなんだろうか?
 うーん。気になる。

 話は変わって、てぃかさんは本当に精力的なお方Σ( ̄□ ̄lll) 新たに開設した・・・“ふたば画像掲示板”でしたっけ? 疲れませんか? 無理はいけませんよ?

2013/04/26 (Fri) 21:51 | REPLY |   

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