月のかけら

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月のかけら ~第一章その5~

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月のかけら~第一章
~目次~



第一章 その5

「思ったより壊れてないね」
「そうだね。結構、保存状態もいいみたい」
僕と美喜は、生体反応があったショッピングセンターの中で捜査を開始していた。ショッピングセンターの外観は、かなり破壊された跡があったが、中の内装は、意外と綺麗だった。所々、壁のヒビや、天井や床が無い場所があったが、かなりのフロアーが無傷だ。衣類や生活用品、家具など、まだ、使えそうな品が残っていた。所々、設備ごと物が無くなっている場所もあったが、他のショッピングセンターに比べれば、かなりマシに思えた。
今まで捜索した街のショッピングセンターは、ほとんどが火災で焼けていたり、水浸しで腐っていたり、建物の倒壊で破壊されている事が多かった。奇跡的に残っていた品物は、生き残った人達に略奪されていた。この場合、略奪と言うべきなのか、それとも、生き残るために必要な事と、言えばいいのだろうか、どう表現すればいいの迷う。
僕は、美喜の話に返事をすると、ホログラムディスプレイを表示し立体地図を呼び出す。現在地を確認するためだ。
「あれ、どう思う」
僕は、地図と現在地を照合していると、美喜が上の階を指さしていた。僕は、美喜が指さす方向に視線を向ける。今いる場所が、三階だとすると美喜の指先は五階辺りを指している。そして、五階には微かに明かりがついているように見える。窓や建物の隙間から、外の光が入り込んでいるだけかもしれない。しかし、僕達のいる場所からは、それを識別することが出来なかった。
美喜の考えていることを想像すると、僕はホログラムディスプレイの立体地図を拡大。ショッピングセンターの建物の詳細図を表示させると、ここから、五階に行く方法を探してみる。エスカレータは、二階まで機械ごと落下している。階段は倒壊していて使えそうにない。非常階段は無惨にも、地面に横たわっている。従業員が使う通路、階段も詳細図上に載っていない。龍也は詳細図を何度も見るが、五階にたどり着けそうなルートはなかった。
五階へのルートは見つけられなかったが、別のことがわかった。外からスキャンしたときの生体反応が、上の階を指している。微かに見える明かりと、生体反応は、やはり五階を指している。
「すごい罠っぽいんだけど、やっぱり、あれを使うんじゃないの」
龍也が立体地図をみながら、上に上がる方法を探していると、美喜が数メートル先の扉を指さす。そこには、両開きの扉が三つあり、扉の上には数字を現すランプが十まである。エレベータが三台あった。エレベータの場所を示すランプが消灯していると思ったが、よくみると、微かに五階のランプが点灯しているエレベータが一台あった。
「う~んんん、灯台もと暗しだね」
龍也はエレベータのランプを見ながら思う。まさか、エレベータに電源が入っているとは思わなかった。ショッピングセンターの詳細図を確認すると、確かにランプのついているエレベータは、人が乗ることが出来そうだった。他のエレベータは、籠が落下して使えそうにない。
「あのエレベータ、動くの?」
「動くんじゃない・・・でも、僕は乗る勇気はないけど」
二人はエレベーターの前まで歩いてくると、不思議そうにエレベータの扉をみる。外から建物の損壊をみていると、このエレベータに乗るには、かなり勇気が必要に思える。中に入ると、かなり綺麗な建物だが、それでも、このエレベータに乗る気にはなれない。構造物に致命的なダメージを受けていれば、人の体重には耐えられても、エレベータの重量移動、運動エネルギーに耐えらず、連鎖的に倒壊する可能性もある。
僕は再び、ホログラムディスプレイを表示させると、詳細図から現在位置を確認する。現在地から、エレベータ周りの状況を確認する。
「たぶん、大丈夫だと思うけど、もしもの時は、逃げ場はここと、ここ」
「了解」
美喜は立体地図を見ながら、自分の位置と地図の場所を目で確認する。
「じゃ、押してみるわよ」
そう言うと、美喜はエレベーターの『▲』ボタンに指を伸ばし、ボタンの手前で止める。一度、龍也の顔を見ると、龍也はゆっくりと首を縦に振る。美喜は決心を決めると、エレベータの『▲』ボタンの押す。
ボタンを押すと、ボタンに内蔵されたランプが点灯する。エレベータが動き出しはじめると、サーボモータの高周波音が聞こえてくる。エレベータの重みと、エレベータとバランスを取るための重り、サーボモータの運動エネルギーが、建物に負荷をかける。天井からは、パラパラとホコリとゴミが落ちてくる。
「動いてるね」
「そうだね」
美喜と龍也はエレベータの停止階を示すランプが五階、四階と動いているの見ながら、心配そうに周りを見ている。エレベータ動きで、建物倒壊はなさそうに見える。そして、エレベーターが三階に停止すると、エレベータの到着をしらせるチャイムが鳴る。美喜と龍也はエレベータのドアの左右の壁に、それぞれ背中をつけるように移動する。美喜は中腰で、龍也は立ったままかまえる。少しぎこちない音をたてながら、エレベータの両開きのドアが開いていく。エレベータの中には照明がついているが、蛍光灯が切れかけなのか、時折、点滅を繰り返し、『ジィー』と言う音をたてている。
美喜がエレベータの中に体の向きを変えると、龍也は美喜の反対側、エレベータの外の警戒する。二人は無言で合図を送ると、美喜がエレベータの中を確認する。龍也は美喜の背後、エレベータの外側を警戒する。
「さて、どうしようか?」
美喜が龍也に問いかける。美喜の問いかけに龍也が振り返る。
「乗ってみる。このエレベータ?」


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