月のかけら

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月のかけら ~第一章その8~

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月のかけら~第一章
~目次~



第一章 その8

「何をしている」
スキンヘッドの男が後ろを向くと、もう一人の男と、子供達が立っているのが見えた。黒い革のジャケットに黒革の手袋、腰には銃とサバイバルナイフが吊されている。無精髭を生やし、少しだらしない目つきに見えるが、右手で銃を構えている。その銃先には、子供達が並んでいる。子供達は、両手を頭の後ろに組んで、美喜達を見ている。その表情には恐怖であふれている。
子供達は、男の子が三人、女の子が二人の計五人。男の子は三人とも、体中に傷が見える。赤くはれたアザ、擦り傷、血を流している子もいる。泣きそうな顔をしている子、引きつったような恐怖を浮かべている子がいる。
床に転がっていた美喜は、子供達の姿をみると、縛られたまま器用に起き上がる。
「子供の相手に、ちょっと、酷いんじゃない」
美喜は入ってきた男を睨みつける。龍也は子供達の姿をみると、自分の判断の間違いに気がつく。
僕と美喜は、エレベータに乗り、五階に到着すると、五階の詳細を再度、スキャンした。その結果、五人の子供達がいること。ショッピングセンターの周辺にセンサーのスキャンを誤魔化すための機器があり、生体反応、熱反応、モーションセンサー、光反応をすり抜けていることが、わかった。そして、その機器を動かすための電源の確保が出来ている。色々な情報から、この設備が子供達だけでは、運用できる物ではないと思った。
そこで僕は、子供達に捕まったフリをする事を美喜に提案した。捕まれば、大人達が出てくると思ったからだ。そこから、僕達の話を聞いてもらえれば、いいと思っていたが、今の子供達の姿をみると、それが間違いだったことに苛立ちを覚える。
「なに、ちょっとした躾だよ」
子供達の後ろの男性が答える。
美喜は、『大丈夫』と、子供達に話しかける。美喜は子供達の傷の具合を確認する。見える範囲で大きな怪我をしている子は、いないように思える。でも、かなり怖い想いをしたのだろう、子供達の顔からは、引きつった笑顔しか返ってこない。
「躾ってレベルじゃ無いわよ。それでも仲間なの」
「仲間じゃねぇよ」
男は美喜の言葉にめんどくさそうに答える。
「俺たちは、ここにこいつらが、隠れて生活しているのを見付けた訳。あとは、わかるだろう」
スキンヘッドの男が、美喜に向かって言葉を付け足す。
美喜と龍也は、二人の姿をみたとき、ここで生活をしている大人達と思ったが、違ったようだ。言葉の通りなら、子供達がいることを見付けたから、食料を奪いに来た。そう考えるのが妥当だろうと思う。
男は小さな箱から、細い棒を取り出すと口にくわえる。シュ、っと音がすると、小さな火が点火する。子供達は、その音を聞くと、声にならない悲鳴を上げると、体が硬直する。しばらくすると、男は大きく息を吐き出すと、気持ちよさそうな声を上げる。
「やっぱり、仕事の後の一服はうまいわ」
「あっ、兄貴ずるいですよ。俺にも一本くださいよ」
スキンヘッドの男は、兄貴と呼んだ男に近づくと、箱から何かを取り出す。同じように火をつけると、口にくわえて、気持ちよさそうに息を吐く。
たぶん、煙草を吸っているのだろう。縛られたまま龍也は、縛られた手で、何を押すような動作をしている。
「じっとしてろよ、兄さん」
スキンヘッドの男は、縛られた男が紐を外そうとしていると思ったのか、口の中から煙を吐き出しながら、男の手を踏みつける。龍也は煙草の煙を吸い込むと、むせながら言葉吐き出す。
「なんだなんだ、煙草のうま味がわからないとは、近頃の若者は、軟弱・・・軟弱だよ」
スキンヘッドの男は、声を荒げながら、龍也を何度も、踏みつける。そのたびに、肉が叩きつけられるような鈍い音が響き渡る。
「行儀が悪いわね。あなたたちこそ、躾が必要なんじゃない」
美喜は踏みつけられている龍也を見ながら言う。
「これが、俺たちの常識なんでね」
兄貴と呼ばれていた男は、美喜に近づくと、美喜の右腕を持ち上げると、そのまま美喜の体が少し地面から浮き上がる。顔色変えずに、大人一人を片腕で持ち上げる腕力は驚きに値する。
「弱い物いじめが常識だなんて、底が知れてるわ」
美喜は右腕を引っ張られる痛みを感じながら、男に言い返す。男は美喜の顔を睨みつけると、さらに右腕を引っ張る。
「それは、どうも」
男は美喜の体を片腕で持ち上げ、空中で振り回すと、そのまま、数メートル先の壁へと美喜を投げ飛ばす。壁に肉が叩きつけられる鈍い音が、響き渡り。美喜の体が壁際に落ちていく。
「何が狙いで、こんな事を」
龍也が苦しそうな声で、スキンヘッドの男に問いかける。
「何が狙い?・・・馬鹿お前は」
スキンヘッドの男は、龍也の腹にけりを入れる。龍也は、腹を押さえながら、床を転がると、壁際で止まり、苦しそうな声をあげる。
「餓鬼どもがいるってことは、食料があるってことだろ」
スキンヘッドの男は煙草を投げ捨てると、足で踏みつける。
「じゃ、食料のために、こんなことをしたわけ」
美喜が左手で、右肩を押さえながら立ち上がっていた。よく見ると、右手から赤い血が流れ落ちている。投げ飛ばされた時に出来た傷が、体中に出来ていた。Tシャツは破れ、黒いスェットスーツは、所々破れ白い肌が見えている。
「生きていくためだよ。誰にも責められる覚えはない。お前達だって、同業だろ」
「兄貴、どうします。このふたり」
「仲間は必要ない。それに女も必要ない。俺が生きていくために必要なもの以外は、すべて殺す」
スキンヘッドの男は、それはもったいないと言おうとするが、すぐに黙る。男が、スキンヘッドの男に銃口を向けたからだ。男は言いたいことが伝わると、今度は、美喜に銃を向ける。
銃口を向けられた美喜は、動じずに銃口を見つめる。男は、美喜に銃口を向け狙いを定める。部屋の中から音が消えていく。それを見ている子供達が、沈黙に耐えきれずに、悲鳴を上げる。
男は子供達の悲鳴に、動じることなく銃の引き金を引く。大きな銃声が部屋に鳴り響くと同時に、子供達の悲鳴が止まる。
「どうして、外したの」
美喜は男の銃口をみながら、問いかける。


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