月のかけら

ドール写真とオリジナル小説『月のかけら』のブログです。最近はツィッター(@teaca_twi)でも活動中ヾ(°∇°*) オイオイ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 スポンサー広告

月のかけら ~第一章その11~

blog_import_4d1dca02d7ab0.jpg

月のかけら~第一章
~目次~



第一章 その11


「私が相手してあげる」
そう言うと、美喜の周りには、半透明の球体、スフィアフィールドが現れる。スフィアフィールドの中には、地形情報、人の動きにあわせて、さまざまな数値、グラフが表示されている。男までの距離、体温、心拍数が表示され、右手のサバイバルナイフには、殺傷能力にあわせた警告マークが表示されている。部屋の瓦礫には、崩れ落ちやすい場所、床のシミ、壁の穴にまで、詳細な解析情報が表示されている。
美喜はスフィアフィールドの情報を、男との戦闘にあわせるように指示を出す。するとスフィアフィールドには男の解析情報に絞り、表示が展開される。
「何が起きてのか、わからないが、そんな映像じゃ、戦いには勝てないぜ」
男は、そう言うと、美喜にサバイバルナイフを投げつける。サバイバルナイフは美喜の心臓をめがけて一気に空間を走り抜ける。男は絶対に避けられないと確信をすると、喜びの雄叫びを上げる。数秒後に聞こえる絶望の声に、サバイバルナイフが肉を切り裂く音。崩れ去る体の音に悲鳴を想像すると、男は勝利を確信する。しかし、その瞬間は、訪れなかった。
「これで勝ったつもり」
美喜に投げつけられたサバイバルナイフは、美喜に刺さる直前で止まっていた。美喜は右手の人差し指と、中指でサバイバルナイフを受け止めていた。スフィアフィールドには、サバイバルナイフ接近、半自動防御動作完了と表示されている。
男は、美喜がサバイバルナイフを受け止める姿をみると、驚きの声をあげる。
「なら、これならどうだ」
男は、背中に両腕を回すと、今度は両手で二本のナイフを投げつける。美喜は受け止めたサバイバルナイフを右手に持ち替えると、二本のナイフをサバイバルナイフではじき返す。
「こんな子供だまし・・・」
美喜の言葉は、最後まで続かなかった。男はナイフが、美喜にはじき返されることは、予想していた。それでも、ナイフを投げつけたのは、この瞬間のためだ。男は美喜がナイフをはじき飛ばした隙を見逃さずに、一気に合間をつめる。美喜の懐に一気に詰め寄ると、さらに隠し持っていたナイフで、美喜の心臓めがけて、ナイフを突き出していた。
「・・・・」
「美喜!!」
龍也が叫ぶと、同時に男のナイフが美喜の胸元に吸い込まれているように見えた。美喜がゆっくりと後ずさると、ナイフは美喜の、胸元数センチ手前で止まっている。
「狙いは良かったけど、けど、ちょっと遅すぎだよ」
美喜がそう言うと、男はナイフを落とす。美喜の右膝が男のみぞおちに決まっていた。これで、終わりと美喜が思うと、スフィアフィールドの右下から緊急警告が表示される。気が抜けていた美喜は、一瞬反応が遅れる。
女性の脚力と言っても、みぞおちに膝を食らえば、男性と言えども、しばらくは動けないはず。その予想を裏切り、男は美喜の脇腹を殴りつけていた。美喜は、少し反応が遅れたが、自分の左腕で防御をする。それでも、男の力の負けると、美喜の体はふわりと浮き上がり、重力にひかれて地面に落ちていく。
「なかなか、女にしてはやるじゃないか」
決まったと思っていた美喜の膝は、男のみぞおちに決まる手前で、ナイフを持っていない手で受け止められていた。
美喜は地面に落ちると、すぐに転がりながら、男との距離をとり立ち上がる。まだ、殴りつけられた腕がしびれている。
「街のヤンキー崩れじゃないわね。あなた、元軍人さん、それとも自衛隊じゃないの」
美喜は相手の力量を間違えたと思うと、素直に相手の素性をさぐる。
「答える義理はないな」
男の返事はあっさりとしている。このまま、少し時間稼ぎをしながら、打開策を考えるプランは出来そうにない。男がナイフを構えながら、すり足で間合いを詰めてくる。
スフィアフィールドには黄色の接近警報が表示され、二十秒後に近接戦闘になる予想と、予想攻撃ラインが表示されている。現状での回避率は三十%以下、ナイフで刺された場合、致命的な損傷を受ける可能性が高く、即時、距離をとるように警報が表示されている。
スフィアフィールドは現状を解析するには、優秀なシステムだが、人間の動きをサポートしてはくれない。ナイフを避けるための、手順を表示する事は出来る。しかし、その動きをするのは、美喜本人だ。美喜がスフィアフィールドの表示する動きが出来なければ、ナイフを回避する事が出来ない。
スフィアフィールドに表示されている黄色の近接警報が、真っ赤な危険警報に変わる。男と美喜の距離が二メートルを切っている。もう、一瞬で勝負が決まる。美喜は、もう逃げられないと覚悟を決める。男がしかけてくるタイミングを見極めるため、腰を少し落とし、半身の姿勢を作る。


応援よろしく!クリックで投票
にほんブログ村 コレクションブログ ドールへにほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ

 (新)小説 月のかけら

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。