月のかけら

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月のかけら ~第二章~ その1

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月のかけら~第一章 ~目次~

月のかけら~第二章 ~目次~


その1

 夜の暗闇が、少し明るくなり、空が赤くなり始める頃。静かな朝の中、男達の声が聞こえてくる。男達は、縦横に整然と整列し、前を向いている。微動だにしない姿は、まるで人形が整列しているように見える。黒い上下の服に、分厚いブーツ。上着には上下2段のポケットとサバイバルナイフを装備している。腰にはピストルを収納するホルスター、右肩にはマシンガンを装備している。帽子を深くかぶり一人一人の表情は見えない。帽子には、鷲の模様が刺繍され、特殊警察の文字が書かれている。
男達の前には、黒い迷彩模様のテントが立てられている。そして、テントの中から一人の男が出てくる。他の男達と同じ装備をしているが、帽子の鷲の刺繍に少し違いがある。この男が、特殊警察の上官の様だ。上官は男達の前に立って静かに手を上げる。
「我々の目標は、今、後ろの建物の中にいる。これより、実行部隊三班による制圧を行う。目標は男一人と女一人の合計二名。凄腕のテロリストだ。なめてかかるな、気合いを入れろ」
大きな声ではないが、緊張感のある鋭い声が、男達を貫いていく。その声は、周辺の空気をさらに冷たくすると、男たちの緊張感を高めていく。その場に居合わせれば、普通の人であれば、逃げ出したい衝動に駆られるだろう。
「・・・」
しかし、男達は身動きひとつしない。上官は、男達の身動きひとつしない姿に満足する。
「相手の装備は、ナイフが一本だ。重火器の装備は持っていない事が、確認されている。我々が、圧倒的に、有利な状況だ」
「・・・」
「しかし、こんな時こそ一瞬の判断ミスと、己の奢りが命取りになる」
「・・・」
「相手は、凄腕のテロリストだと言うことを忘れるな、心して行動しろ」
「・・・」
男達は、返事の変わりに無言を貫く。
「第一班、ビル正面入り口から侵入、左右の階段に分かれて、指示を待て」
「了解」
「第二班は、南側、ビル外壁から屋上へ進入。屋上を確保して待機」
「了解」
「第三班は、東側と西側の索敵ポイントへ移動、目標を探し出せ」
「了解」
「いいか、相手はガキだが、凄腕のテロリストだ。熱い気持ちは燃やすな、何が起きても、冷静に心を冷たく、的確に相手を追い詰めて、一撃をくれてやれ」
「了解、一撃をくれてやります」
「そうだ、俺たちは一流の実行部隊だ。はみ出しもののテロリストに負けるわけがない」
「負けるわけがない」
「この作戦が実行、完遂できるのは世界でも、我々だけだ」
「我々だけだ」
「それでは作戦を開始する。持ち場について、次の指示を待て」
「了解」
男達は沈黙すると、物音を立てずに暗闇へと消えていく。男達が消えて、しばらくすると、コツコツと靴の音を立てながら、女性が歩いてくる。白衣を着ているが、白衣の上からでも、ハッキリとわかる胸の大きさ、タイトスカートからのぞく綺麗な脚線美が、先ほどまでの男臭い絵とは対照的だ。
「なかなか、張り切ってますね、大佐」
女性は一人残った男に、話しかけてくる。女性の声がすると、先ほどのまでの、緊張感が嘘のように消えていく。
「あの二人が相手だからな」
女性は少し、考えるとそぶりをみせると、ビルの上を見ながら返事を返す。
「テロリストの二人よね」
「そうだ」
「でも、あの部隊で大丈夫なの」
「俺が鍛えた一流の実行部隊だ」
男は、小さな咳払いをすると、不満げに顔をする。女性はその気持ちを感じたのか、少し男との距離をとる。
「はい、はい、そうよね」
女性はニコリと笑顔を見せると、『いい報告を待ってます』と、手を振る。大佐は特に返事をせずに女性を見送る。女性は大佐の返事がないことを、不満に感じながら、後ろの赤い十字マークのテントに入っていった。

 建物の通路が、外の微かな光に照らされている。暗い通路に、小さな黒い影が動いてくる。微かに足音は、次第に大きくなり、建物の階段の手前で立ち止まる。ゆっくりと、壁際まで移動する黒い影。壁には、外が見える窓があるが、元々あったはずの、窓ガラスは一枚も残っていない。微かな風の音が聞こえてくる。
黒い影は窓の外をみると、ビル前の集団をみつける。ここからは、集団が何を話しているかは、聞こえてこない。
「美喜、聞こえる?」
耳元に自分にだけ聞こえる小さな声が伝わってくる。
「聞こえるよ、龍也」
美喜は周りに聞こえないように、小さな声で返事をする。
「そっちの状況は」
「三つの部隊が見えるわ。ひとつが正面玄関に張り付いてる。もう一つは、装備からすると、周辺ビルからの狙撃かな。残りはビルの裏手に回ったわ」
美喜は、話をしながら、腰から小さな黒い球体を取り出すと、球体の表面の小さなボタンを押す。黒い球体は、青色のランプを細かい周期で点滅を繰り返す。美喜は何も見えない空間に、キーボードから何かを打ち込む様な仕草をする。
「了解、こちらの準備は、あと三分ほどで終わるから、ちょうどいいかな」
「こっちは、後、一カ所で準備完了よ。じゃ、予定通り。第一段階の合流ポイントで」
美喜は、手元にある黒い球体の青色ランプが消灯すると、足元の瓦礫に黒い球体を隠す。
「了解」
返事をすると、美喜はしゃがみ込む。すると、暗闇から、健康的な太ももが浮かび上がる。艶があり、綺麗な肌色は、女性特有のものだ。美喜は、太ももに手を回すと、その手の先には、無骨な革のベルトが巻き付けられている。ベルトには手のひらに収まるサイズの白い筒が数本取り付けられている。
美喜は白い筒を手に取ると、再び立ち上がる。残念ながら綺麗な太ももはお預けだ。美喜は建物の外をみると、ちょうど正面入り口の部隊が入り口を調査しつつ、数人がビルの中に入っている。
「じゃ、先手必勝でいくわよ」
そう言うと、美喜は白い筒を両手で持ち、半分ひねりをくわえる。
「・・・3、2、1」
美喜は持っている白い筒を正面入り口の部隊中心に投げ込むと、暗い夜が一瞬にして昼の明るさになり、数名の悲鳴が聞こえてきた。
「お前は、もう死んでいる・・・てね」



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 (新)小説 月のかけら

1 Comments

げる  

おぉうっ、始まりましたね♪
ftmm(*´ω`*)

2013/12/20 (Fri) 14:39 | EDIT | REPLY |   

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